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必ず知っておきたい様々な「会計」の違いとは?

「会計」という言葉は様々な意味を持っていますが、これらの意味の違いを普段から意識できていますか。また、これらの意味の違いをもし聞かれたら、ポイントを押さえて説明できるでしょうか。

経営者となれば、必ず付き合っていかなければならない「会計」ですが、経営者だからこそ「今さら聞けない!」という側面もあります。
そこで今回は、よく耳にする言葉を例として挙げながらわかりやすく、かつ、簡潔に、解説したいと思います。

「だいたいはわかっているつもり」という方は、下で記載している2つの図をご覧いただくだけで、知識の整理に役立つはずです。

図1

図2

「財務会計」、「税務会計」、「管理会計」のそれぞれの役割

「会計」は、その目的によって大きく3つに分けられます。「財務会計」と「税務会計」と「管理会計」です。

1つめの「財務会計」は、債権者や投資家に対して情報開示目的で行われる会計です。具体的には、会社法で作成が求められる「計算書類」や、主に上場会社が金融商品取引法に基づいて作成が求められる「有価証券報告書」が、この「財務会計」で作成される決算書です。よく耳にする「会計上は、…」と言うときの「会計」とは、この「財務会計」のことを指すことがほとんどです。

2つめの「税務会計」は、課税所得(≒税金が課される利益の金額)の計算を目的に行われる会計です。例としては、税務署へ提出する「税務申告書」がこの「税務会計」で作成される決算書であり、よく耳にする「税務上は、…」と言うときの「税務」とは、この「税務会計」のことを指します。

3つめの「管理会計」は、会社の内部管理目的で行われる会計のことをいいます。例えば、会社の事業部ごとの損益計算書を作成したり、製品別の原価計算を行ったりするのが、この「管理会計」です。

「制度会計」と「管理会計」の違い

以上のうち、会社法や金融商品取引法、法人税法などの法律≒「制度」によって外部への報告義務が定められており、会計処理のルールが決められている会計のことを俗に「制度会計」といいます。つまり、「制度会計」=「財務会計」+「税務会計」です。

一方、「管理会計」は、会社内部での管理が目的であるため、会計処理のルールは定められていません、というよりも、各会社が独自のルールを決めることができます。

例として、ある会社の組織がA事業部、B事業部、管理部から成り立っており、A事業部とB事業部の採算を把握するために、管理部の人件費をA事業部とB事業部にそれぞれ配分したい場合、この配分方法は各会社が自由に決めてよいということです。例えば、A事業部とB事業部のそれぞれの人員数をベースに配分してもよいですし、それぞれの売上高をベースに配分する方法も考えられます。

このように、「管理会計」は各会社が自社の実態に合わせて独自のルールを決めて行う必要があります。なお、「管理会計」で作成された資料は内部利用が前提であり、外部へ提出する必要はありません。

「財務会計」と「税務会計」の 違い

「制度会計」=「財務会計」+「税務会計」ですが、「財務会計」と「税務会計」ではそれぞれ目的が異なります。

「財務会計」は、ある一定期間(通常は1年間)の損益をルールに基づいて計算し、そこで作成された決算書を債権者や投資家に対して開示することが目的です。

一方「税務会計」は、課税所得(≒税金が課される利益の金額)をルールに基づいて計算し、そこで作成された申告書を税務署に対して提出することが目的です。

つまり、「財務会計」と「税務会計」は、外部への報告義務があり、会計処理のルールが決められているという点では同じですが、その目的が異なっているため、両者の会計処理のルールも異なる点があります。

では、「日本基準」や「国際会計基準」(IFRS)とは何か?

他にもよく耳にする言葉として「日本基準」や「国際会計基準」などがあります。最後に、これらについても簡単に触れたいと思います。

「日本基準」や「国際会計基準」とは、上で説明した「財務会計」のうち、主に上場会社が作成を求められる「有価証券報告書」の作成ルールのことです。「有価証券報告書」は主に投資家に対する情報開示を目的に作成される決算書ですが、近年では投資家といっても「海外投資家」も増えてきました。しかし、その海外投資家が日本の上場企業の「有価証券報告書」を見たときに、日本の作成ルールと他の国の作成ルールでは異なる部分があるため、海外企業との業績の比較ができないという問題があります。

そこで、一部の上場会社では、海外の主要国で使用されている「有価証券報告書」の作成ルールを採用しており、これを「国際会計基準」(IFRS)と呼んでいます。一方、従来から日本の上場企業が採用していた「有価証券報告書」の作成ルールのことを「日本基準」と呼んでいます。

まとめ

「制度会計」と「管理会計」と「財務会計」と「税務会計」の違いについて、整理できたでしょうか。初めに記載したの2つの図を、ここでもう一度ご覧いただくと、知識が整理できると思います。

実務で多く耳にするのは「財務会計」、「税務会計」、「管理会計」の3つであり、「会計」の話をしているときには、その「会計」がこれら3つのうちどれのことを指しているのかをしっかり意識して実務にあたることが、「経営者として求められる会計の知識」です。

南青山リーダーズ株式会社 編集部

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