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社会保険は加入しないといけないのか?

社会保険は、会社を経営する上で避けては通れないものの一つです。経営者の方も給料をもらう従業員の方も、社会保険について気にされることがあるかと思います。ひと口に社会保険といっても幅広くてすべては説明しきれませんが、私の身近にあった例として、経営者の方から「社会保険は加入しないといけないですか」と質問をされたことが数回ありました。

まずは、どのような会社が社会保険に加入する必要があるのか、社員個人や会社においてどのような影響を受けるのかを記述していきたいと思います。

1. 社会保険に加入する必要のある会社

設立したばかりの会社などでは、社会保険に入ってくださいという案内が届くことがあります。従業員の視点から考えますと、就職先を探す際、会社に社会保険があるかどうかを気にする方も多いようです。

社会保険は、入らなければならない会社とそうではない会社があります。社会保険に加入しなければならない事業所、会社を「強制適用事業所」といいます。また、強制適用事業所ではないけれど、任意に社会保険に加入する事業所、会社を「任意適用事業所」といいます。以下で詳細を説明します。

① 強制適用事業所とは
事業主や従業員の意思に関係なく、社会保険に加入しなければならない事業所のことを強制適用事業所といいます。強制適用事業所の範囲は、法人はすべて、個人は従業員が常時5人以上いる事業所が該当します。

(参考:全国健康保険協会、日本年金機構HP)

② 任意適用事業所とは
強制適用事業所に該当していないが、自ら選択して適用事業所となった事業所のことを任意適用事業所と言います。従業員の半数以上が、適用事業所となることに同意した場合、日本年金機構の認可を受けて適用事業所となることができます。一定の要件を満たせば脱退するもできます。

適用事業所となった場合でも、正社員、アルバイトを含めた全員が被保険者になるわけではないため、各社員が被保険者の要件に該当するか否かも確認する必要があります。

2. 税額計算への影響

さらに、社会保険への加入が税金に対してどのように影響してくるのかも重要です。立場別に考えると、関連する税法が以下のように異なります。


① 会社員の場合
社員個人の所得税を計算する際に、給与から天引きされた社会保険料は税額を少なくする効果があります。社会保険料控除と言われるもので、年末調整や確定申告でその調整を行います。ちなみに、これは給与から天引きされる社会保険料だけではなく、国民健康保険料、国民年金保険料の場合でも所得税の計算に影響します。

② 会社の場合
会社の形態により、個人事業者と法人とでは以下の様な違いがあります。

  • 税率の違い
    会社で負担する社会保険料は、主に、個人事業主であれば所得税、法人であれば法人税の計算に影響がでてきます。その税額の計算方法に関しては類似しているように思いますが、税率が異なりますので、負担する税額は変わってきます。現行の所得税と法人税の税率は、以下の表のとおりです。
    所得税は累進課税といい、所得(収入-費用)に応じて5~45%となっております。法人税は、原則として一律23.4% となっております(平成29年度)。
    よって、個人事業者から法人になった場合などには、税負担が増える可能性も減る可能性もあります。一つの判断材料となるかもしれません。

  • 保険制度の違い
    又、税率の違い以外に加入できる保険制度が以下の表のように異なります。保険料の計算方法も受けられる給付内容なども異なりますので、個人事業主と法人の役員とでどちらを選択すると得かは、一概には言えません。個人事業者が法人になる場合には、税理士や社会保険労務士に相談することでより適切な判断ができるといえます。

3. 利益計算への影響

  • 事例
    例えば個人事業者が法人になり、役員や従業員を昇給した際などには、社会保険の負担が増え、想定していた以上に支出が増えてしまい、利益が減る、資金繰りが厳しくなるという事態も起こり得ます。役員報酬や給与の金額が大きい場合や社員の人数が多い場合には、よりその影響も大きくなります。

  • 会計処理
    社会保険料は、会社が半分以上負担し、残りを社員の方が負担することになります。以下に会計処理の一例を示します。

4. 結論

会社の経営に社会保険は少なからず関わってきます。また、社会保険料の支払いは会社の支出であるため、税金や利益の計算にも影響を及ぼします。その負担額は決して小さいものではなく、税金と同じように社会保険料の対策を考えることは重要なことです。経営者として自ら最低限の知識をつけること、その上で専門家に相談することが不可欠といえるでしょう。

南青山リーダーズ株式会社 編集部

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