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納税の猶予を受けることができる要件とは?

近年被災後の事業再生が課題となっています。被災後、事業休止から復帰できずに倒産してしまうケースが残念ながら多数を占めています。東日本大震災の関連で倒産した企業は、昨年単独でも97件にも上り、累計1785件に達しています。それだけ震災の影響は根強く、事業に多大なる損害をもたらします。被災などで多大な損失を負った場合、納税する余裕がない場合が多いでしょう。そういった場合に備えて、今回は万が一の時に税金の支払いを待ってもらうことができる納税猶予を受けられる条件等をご紹介します。

納税猶予を申請することができる場合

納税義務者のうち、主に次の4つの場合は納税猶予を申請することができます。
なお、詳細な要件については以下の+ボタンを押すとページに表示されます。
納税義務者のうち、次の①から④の要件のすべてに該当するときは、原則として1年間を限度に、納税の猶予が認められます。

①主に次の4つのいずれかの事実があること

  1. 災害に遭った場合
  2. 盗難等に遭った場合
  3. 事業が著しい損失を受けた場合
  4. 納税者本人または親族が病気にかかった場合

②上記の事実に基づき、税金を一時に納付できないと認められること
③申請書が提出されていること
④原則として、担保の提供があること

1. 災害に遭った場合

震災、風水害、落雷、火災等で被災した場合に適用されます。なお、災害に遭った場合は、納期限が未到来のものも猶予申請ができ、さらに担保なしで猶予を受けることができます。納期限が未到来の納税は、災害がやんだ日から2か月以内に申請すれば、猶予を受けることができます。
また、納期限が過ぎた納税に関しても、納税猶予を受けることができます。さらに『災害』に該当するものが拡大され、地すべり、干害等の自然現象や、火薬類の爆発、ガス爆発等の人為による災害、病害虫、鳥獣害生物による災害も含まれます。
納期限の猶予は原則1年ですが、事由によって延長が可能となっており、さらにもう1年までなら猶予期間を延長できます。震災に遭った場合は、最大で2年延長申請ができます。

2. 盗難等に遭った場合

盗難や、詐欺等で納税者がやむを得ない事情で財産を著しく損失した場合、猶予を受けることができます。盗難や詐欺には、横領で企業が財産を損失した場合も含まれます。

3. 事業が著しい損害を受けた場合

やむを得ない理由で、事業の売上が著しく減少した場合、申請することができます。例えば、労働争議で事業が継続できなかった場合や、事業は継続していてもインフラ設備の労働争議や道路工事もしくは区画整理等の通行路の変更等で、売上の著しい減少等の影響を受けた場合、納税猶予の申請をすることができます。また、下請け会社が親会社からの発注が減少した場合や、市場の悪化等でも申請することができます。

さらに、納税者の取引先が事業の不振等による休廃業、倒産、破産宣言等を行った場合も納税猶予を申請できます。取引先から債権回収が困難と認められるからです。

ただし、「売上の著しい減少」とは、単に従前に比べて売上が減少したというだけでは足りず、事業の休廃止や事業上の著しい損失に準ずるような重大な売上の減少があったことが必要となることにご留意ください。

4. 納税者本人または親族が病気にかかった場合

納税者、もしくはその配偶者等生計を共にする親族が病気にかかった場合、または負傷した場合は猶予申請することができます。また、別居中等で生計が同一としない場合でも、例えば被扶養関係である場合や、事実婚である関係の間柄である場合も申請することができます。

納税猶予の手続きを行うメリット

通常、納期限が過ぎた税金には延滞税(年14.6%)が課せられますが、納税猶予の手続きを取った場合、延滞税が課せられません。
また、税金は基本一括で支払いますが、分割納付することができます。つまり、状況に合わせて、税金の一部を支払い、未払いのものを猶予申請することもできるので、納付しやすくなります。
納税猶予の制度の主な目的は、納税者が自主的に納税しやすくなる環境を整えることです。それぞれの要件は厳しく、簡単に納税猶予が認められることはありません。ただ、過重な税負担により、納税者の事業や生活等の諸活動に影響を及ばすのは租税の本来の意図ではありません。もしも納税しづらい状況に陥った場合は、まず税理士にご相談ください。


南青山リーダーズ株式会社 編集部

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