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旅費規程は作成されていますか?

camera_alt (写真= Alex Brylov/Shutterstock.com)

皆様の会社では出張した際に、新幹線代・飛行機代、宿泊費などの実費のみを精算していませんか。あらかじめ旅費規程を定めることにより、出張手当、いわゆる日当を支給することができるようになります。

旅費規程を利用した節税の仕組み

実費の交通費、宿泊費は、出張した本人が立て替えた部分の金額ですから、精算しても本人にとって損得は生じません。しかし、旅費規程に基づいて支払われる出張手当は、それとは別に支給されるもので、いわば本人が出張を通じて稼いだ部分です。

この出張手当ですが、会社にとっては必要経費として認められ、本人にとっては所得税、住民税共に非課税で会社から受け取ることができます。さらには、出張手当は消費税の計算上、課税仕入れとして取り扱いますので、消費税の節税効果もあります。役員報酬や給与は、消費税の計算上、課税仕入れとして取り扱うことができないので、ここが大きく異なります。

ただし、出張手当を支給する場合、いくつか注意点がありますので、以下その点について説明させて頂きます。

旅費規程を利用した節税対策の注意点

1. まず、旅費規程を作成すること
出張手当が必要経費として認められるためには、対象者を全社員とした出張旅費規程を整備し、出張手当の支給基準を定める必要があります。

また、できれば旅費規程の導入を株主総会で決議し、株主総会議事録を保管しておくことをお勧めします。旅費規程の導入が、経営から独立した出資者の集まりである株主総会での意思決定ということならば、万一税務調査で指摘を受けた場合、議事録は説得力のある資料の一つとなるからです。
 
2. 出張報告書を作成すること
出張手当の支給の都度、必ず出張報告書を作成し、現地でどのような業務を行ったのか等、記録として残すことが大切です。

その出張がカラ出張ではないか、個人的な旅行ではないかと疑われることのないよう、日時、場所、訪問先、担当者名、出張先での打合せ議事録(メモ)などを残しておきましょう。

日当というものはそもそも交通費、宿泊費と違い、領収書など外部の業者が発行する証憑類が存在しません。ですから、自社でその代わりとなるような客観的資料を残しておく必要があるのです。

3. 社会通念上常識的支給額であること
旅費規程を利用した節税対策ですが、いくらでも出張手当を支給してよいということではありません。あくまでも社会通念上常識的な支給額でないと、税務署から不当に税金を減少させる行為と判断されかねません。

所得税法基本通達9-3で、「非課税とされる旅費の範囲」に関しての記述があります。役員、従業員全てを通じて適正なバランスが保たれた基準によって計算されたものであるか、同業種、同規模の他社が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるか、といったことが、判定基準になると述べられています。

実費以外の日当の支給が認められる理由

さて、最後に、なぜ実費以外に日当の支給が認められるのか、不思議に思われる方もいらっしゃると思いますので、日当の支給が認められる理由をご説明致します。

出張をした場合、実費の交通費、宿泊費以外に、実際には、出張の際に個人的に負担した経費(洗面用具、着替え、通話料等々)が諸々発生していることが多くあります。それらの支出に対して、領収書を一つ一つ回収して精算するのではなく、出張旅費規程で定められた範囲内であれば、税務署としても、実費以外の日当の支給を認めようということなのです。

おわりに

出張旅費規程は、一度整備すれば、以上のように節税対策となり、また社員も安心して出張に行くことができます。規程に基づいて経費処理していることで、税務署に対する経理の信頼度もアップします。

事業が拡大していく時期は、営業範囲も拡がり、遠方への出張回数が増えてくることと思います。現在、御社に出張旅費規程がなければ、事業拡大を機に出張旅費規程の作成を検討されてみてはいかがでしょうか。


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