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減税?増税?配偶者控除の改正について

(写真=Bartolomiej Pietrzyk/Shutterstock.com)

平成29年度税制改正により、平成30年分からの配偶者控除・配偶者特別控除の見直しが行われます。本改正は働きたい人に就業調整を意識させない仕組みを構築する観点から行われ、いわゆる『所得の壁』が103万円から150万円へ引き上げられるとされています。その改正内容を解説します。

配偶者控除・配偶者特別控除とは(現行制度)

配偶者控除・配偶者特別控除とは、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に、一定の金額の所得控除が受けられる制度をいいます。

・配偶者控除
配偶者の合計所得金額が38万円以下(給与収入のみの場合103万円以下)の場合には納税者本人は38万円の所得控除を受けることができます。

・配偶者特別控除
配偶者の合計所得金額が38万円を超え76万円未満(給与収入103万円超141万円未満)である場合に、配偶者の合計所得金額に応じた所得控除が受けられます。ただし、納税者本人の合計所得金額が1千万円を超える場合は控除を受けることはできません。配偶者の給与収入額と控除額の関係は図1の通りとなっています。

図表1

現行制度では配偶者の給与収入が103万円以下の場合、納税者本人は38万円の所得控除を受けることができ、103万円を超えると控除の金額が段階的に減少してゆき、141万円以上になると控除額はゼロとなります。

なお、控除を受けるためには上記以外にもいくつか要件がありますので、詳細な要件については国税庁HPをご参照ください。

配偶者控除
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1191.htm
配偶者特別控除
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1195.htm

改正点について

平成29年度税制改正では『①配偶者の所得制限の緩和』及び『②納税者本人の所得制限の強化』という観点から所得控除の要件の変更が行われています。

① 配偶者の所得制限の緩和
38万円の所得控除の対象となる配偶者の給与収入の上限が103万円から150万円に引き上げられるとともに、150万円を超える場合は201万円まで所得に応じた所得控除を受けることができます。

例えば、配偶者の給与収入が150万円の場合、従来は納税者本人は所得控除を受けることができませんでしたが、改正後は38万円の所得控除を受けることができます(納税者本人の合計所得金額が900万円以下の場合)。

また、配偶者の給与収入が150万円を超えた場合の収入額と控除額の関係は図表2の通りとなっています。

図表2 【出典】財務省「説明資料[平成29年税制改正等について]」

② 納税者本人の所得制限の強化
控除の適用を受ける納税者本人の収入制限が強化され、給与収入が1,120万円 (合計所得金額900万円)を超える場合には控除額が逓減し、1,220万円(合計所得金額1,000万円)で控除が消滅します。

例えば、配偶者の給与収入が103万円で納税者本人の給与収入が1,300万円の場合、従来では納税者本人の収入の金額にかかわらず、配偶者控除を受けることができましたが、改正後は控除を受けることができません。

納税者本人の給与収入金額と所得控除の金額の関係は図表3の通りとなっています。

図表3【出典】財務省「説明資料[平成29年税制改正等について]」

増税か減税か

今回の改正では、配偶者の所得制限について緩和が行われる一方で、納税者本人の所得制限が強化されています。配偶者の所得制限緩和の観点から所得の壁の103万円から150万円への引き上げともよばれ、減税のイメージもある今回の改正ですが、納税者本人の所得が一定金額を超える場合は、従来では受けられていた控除が減額もしくは消滅となるため増税となります。

増税となる世帯については、平成29年から制度が拡充された個人型確定拠出年金(iDeCo)や平成30年から創設される積立NISAといった新しい制度の利用を検討して改正に備えてはいかがでしょうか。

iDeCoについて(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/
積立NISAについて(国税庁)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/joto-sanrin/h29aramashi.pdf#search=%27%E7%A9%8D%E7%AB%8BNISA+%E5%9B%BD%E7%A8%8E%E5%BA%81%27