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そもそも富裕層とは?日本の富裕層事情

camera_alt (写真=Bogdan Sonjachnyj/Shutterstock.com)

日本は米国に次いで富裕層の多い国であることをご存じだろうか。クレディ・スイスによれば、2016年における日本の富裕層は282万人以上存在するとされている。一体、日本の富裕層とはどのような人達を指すのだろうか。また、実際にどのくらい存在するのであろうか。富裕層の実態に迫っていこう。

そもそも富裕層の定義とは

そもそも富裕層とは一体何か。実は富裕層という定義は確定したものがあるわけではない。一般的には資産総額が100万米ドル、もしくは1億円以上ある人を富裕層と定義づけるケースが多いといえるが、金融資産と非金融資産(主に不動産)の合計から家計の負債を指し引いた額でセグメントする場合もある。また、単純に年収◯千万円以上を富裕層と定義づけているケースもある。

そのため、メディアなどにおける富裕層の報道を確認する際には、それぞれの定義がどうなっているかを確認する必要がある。ボストンコンサルティンググループ「2015年版グローバルウェルス・レポート」によれば、100万米ドル以上の家計金融資産を保有する世帯を「富裕層世帯」と定義している。クレディ・スイスの調査では日本は世界2位の富裕層人口をもつといえたが、ボストンコンサルティンググループでは第3位の富裕層世帯数となっている。

このように、調査を行う企業によっては、世帯数や人数で異なった側面がみられる。ここでは、クレディ・スイスの調査結果(グローバル・ウェルス・レポート)をもとに日本のミリオネア(資産総額100万米ドル超)をみていこう。

このレポートによると、日本の富裕層は2015年時点では208万8,000人であった。たった1年間で282万6,000人まで増加した。土地価格や株価の上昇、相続などが背景にあるものと想定される。さらにいえば、日本の超富裕層(クレディ・スイスでは純資産が5,000万米ドル超と定義)の増加率は著しく、最新の調査では3,600人まで増加しているという。世界第6位の超富裕層大国でもあるのだ。

日本の富裕層ピラミッド

それでは日本の富裕層ピラミッドをみていこう。野村総合研究所の調査では純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の世帯を富裕層世帯と定義している。

2015年時点で121.7万世帯が富裕層世帯(超富裕層世帯含む)に該当する。一方、純金融資産保有額が5億円以上の世帯を超富裕層世帯と定義しており、その数は2015年で7.3万世帯と想定されている。また、純金融資産保有額が5,000万円以上1億円未満の世帯を準富裕層と定義しており、314.9万世帯が所属するとしている。

実は2011年調査結果と比べると、このような富裕層世帯並びに準富裕層世帯の数は明らかに増加している。2011年当時においては、超富裕層世帯は5.0万世帯、富裕層世帯が76.0万世帯であったことから、富裕層はたった4年間で約50.5%、超富裕層は46.0%も増加したことになるのだ。これは富裕層になればなるほど運用に回せる資金が多く、資産を増やしている側面があるからと想定される。

世帯数の増加もさることながら、富裕層世帯および超富裕層世帯の保有する純金融資産保有額の著しい増加も見逃せない。2011年において超富裕層世帯は44兆円の資産を保有していたが、2015年には75兆円と大きく資産を増やしている。資産額も約70.4%の増加と著しい伸びである。

また、富裕層世帯においては、2011年において144兆円の資産を保有していたが、2015年には197兆円と約36.8%増加させている。アッパーマス層やマス層よりも資産額の増加率は高く、富裕層の資産拡大傾向が著しいことがわかる。

全世帯数が約5,290万世帯ある中で、富裕層・超富裕層の割合は121.7万世帯。およそ2.3%の世帯が該当するのが富裕層・超富裕層階級であり、こうした層は着実にここ数年で資産を増やしてきた。今後も株高、地価上昇が続くとすると、富裕層がもっとも恩恵を受け資産を増やすことにつながっていくかもしれない。

日本はもはや中流層意識は通用しない?

富裕層の数が拡大する一方で、下の層にいけばいくほど世帯数が増え、格差が広がっていることがみてとれる。こうした格差はさらに拡大する可能性があり、もはや皆が中流層という意識をもつ時代ではないのかもしれない。

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