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経営者の退職金準備 小規模企業共済制度とは

camera_alt (写真=pinkomelet/Shutterstock.com)

小規模企業の経営者の方々は、自身の退職金について準備されているだろうか。起業して間もない小規模企業の経営者は、従業員の退職金制度についての知識はあるが、自身の退職金については「まだ考えていない」「どうすればいいか分からない」と答える人もいるかもしれない。

企業で働いた年数や退職時期にもよるが、一般的に退職金を支払うには多額の資金が必要だ。ことに小規模企業においては、単独で企業内に退職金制度を設けることが厳しいのが現状だ。

「後継者がいない」「完全にリタイアしたい」などの理由で事業を廃止した場合、また経営者が第一線を退き、勇退を望む場合は、その後の生活を支えていくべき資金が必要になってくる。経営者の方々も自身の退職金の準備を始めていくべきだ。

中小企業従業員のための退職金制度として中小企業退職金共済制度があるように、小規模企業の経営者の退職金制度に「小規模企業共済」がある。今回はこの「小規模企業共済」について紹介していこう。

小規模企業共済制度とは

小規模企業共済制度は、個人事業主や小規模企業の経営者向けの退職金制度で、積み立てた掛け金に応じて共済金が支払われる制度だ。

同制度は原則として、常時従業員が20人以下の小規模企業の経営者や役員が、定められた条件を満たした場合に加入できる。小規模企業を共同経営している場合、最高2人まで加入することができるのが特徴だ。ただし、副業として事業をしているサラリーマンや生命保険の外務員など、加入が認められない人もいるので注意しよう。

小規模共済制度の魅力は、掛け金の負担が少ないことだ。月額下限は1,000円から上限は7万円まで、500円単位で自由に金額設定ができる。創業期の資金が少ない時期は少額の掛け金で設定し、ビジネスの状況によって増額することもできる。

解約と税務上の処理について

解約については、小規模共済制度に加入後、何らかの事情があって解約をする場合はもちろん、新たに手続きを行い、会社を設立して法人に成り代わる場合も解約扱いになる。

解約扱いになった場合は、掛け金の納付期間によって解約手当金が支払われる。一般的に納付期間が20年を下回る場合は、加入から解約までの合計払込金額より解約手当金は少なくなってしまうが、納付期間が20年を超えている場合は最大で120%相当の金額が支払われる。

税務上の処理については、掛け金は個人所得から全額控除ができるが、その掛け金自体は企業を運営するために発生した事業損金や必要経費として落とし込むことはできない。あくまで、経営者個人として共済制度に加入しているという認識が大切だ。

小規模企業共済制度の活用方法

小規模企業共済に加入して得られるメリットに視点に置きながら、共済制度の活用方法を考えてみよう。

1. 自身の退職金を準備するために活用
創業間もないベンチャー企業の経営者や個人事業主は、自社で退職制度を整えるのが資金的に難しいことがある。そんな時に、少額から始められる小規模共済制度を自身の退職金制度として、上手に活用することができる。

2. 節税に役立てるために活用
小規模共済制度への掛け金は所得控除の対象になるので、節税に貢献することができるのも大きなメリットだ。特に、数十年先を見越すと大きな数字になる。また、共済金が支払われる際も退職所得になり(受取る年齢や受取方法により異なる)、退職所得控除の対象になるので、節税対策としても大いに活用すべきだ。

3. 資金調達に役立てるために活用
小規模企業共済制度には「契約者貸付制度」というものがあり、積み立ての合計金額の範囲内で資金の貸付けを受けることができる。事業が下り坂の時、または急な資金調達が必要な時に役立てることができる。契約者貸付制度には、一般的な事業資金への貸付け、疾病や災害時をサポートする貸付け、廃業や会社の解散に必要な資金への貸付けなどがある。

共催者の同居する親族への福祉を目的とした貸付けもある。小規模共済制度の契約者貸付制度は、ビジネスのみならず、共催者にとってかけがえのない家族へのサポートにも対応する制度なので、こちらも大いに活用できるだろう。

小規模企業共済を上手に活用しよう

小規模企業共済加入時には、不測の事態でやむを得ず解約をする場合も、納付期間によって解約手当金が支払われるので、公平性がある。なにより、国が全額出資している独立行政法人によって運営されているので、小規模企業の経営者が安心して加入できる制度といえるだろう。

早速、自身の退職金について検討してみてはいかがだろうか。なお、税制の詳細に関しては税理士など専門家に相談して頂きたい。


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