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セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)が始まりました!

camera_alt (写真=funnyangel/Shutterstock.com)

確定申告の時期になるとよく耳にする「医療費控除」ですが、これは1年間にかかった医療費の一部を所得から控除し、税金(所得税)が還付・減額されるという制度です。1年間に支払った医療費の合計が10万円(注1)を超えた場合にこの制度が利用できます。しかし、お医者さんに診てもらう機会が少なく1年間の医療費が10万円もかからない方も少なくないでしょう。

そのような方でも利用しやすい新しい制度が2017年1月1日から始まりました。

薬局やドラッグストアなどで購入できる医薬品のうち、特定の成分を含むOTC医薬品を1年間に12,000円以上購入し、更にその年の会社の健康診断や自治体の健康診査やがん検診などを受けている場合にこの制度が利用できます。

(注1)その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等5%の金額

セルフメディケーション税制とは?

世界保健機構(WHO)はセルフメディケーションについて、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義しています。

超高齢者社会の現代において、医療費の増大が注目されています。この税制を導入することにより個人が生活習慣に気を配り、医薬品についての知識を身につけて、軽い症状であれば医者にかからずに済むようになり医療費の抑制につながります。

OTC医薬品購入で節税!税制を利用するための条件とは?

健康維持、疾病予防のための一定の取り組みを行う個人がOTC医薬品を購入した場合、その購入金額が1年間に12,000円を超えるとき、その超える部分について所得控除ができます。ただし、88,000円を上限とし、既存の医療費控除制度との併用はできないため、どちらか有利な方の選択適用となります。
この購入金額については生計を一にする配偶者、その他の親族を含み合算することができます。
上記の「一定の取組み」とは、法律や法令で定め行われている特定健康診査・予防接種・定期健康診査・健康診査・がん検診のことで、これらのうちいずれかを受けていれば対象となります。お勤めの方は会社等で受けられる健康診断や、主婦などが受診できる自治体の健康診査、がん検診等も該当します。

制度の対象となるOTC医薬品とは?

OTCとは、英語の「Over The Counter(オーバー・ザ・カウンター)」の略語で、OTC医薬品は薬局やドラッグストアなどで医師の処方箋がなくても購入できる医薬品です。頭痛薬や風邪薬など様々な薬が市販されています。

セルフメディケーション税制ではこれらすべての医薬品が対象になるわけではありません。対象となる医薬品は医療用医薬品でも使われている83成分を含む約1600品目となります。(2017年1月13日時点)詳細は厚生労働省のホームページで確認することができます。

また、対象となるOTC医薬品のパッケージには下記のようなマークが表示されます。

ただし、このマークは掲載が義務化されているわけではないため、マークがついていなくても対象となるOTC医薬品もありますので、購入の際には店頭で確認するとよいでしょう。

どのくらい節税になる?

セルフメディケーション税制は「医療費控除」と同様に「所得控除」が適用されます。
個人の方の所得税や住民税は、課税される所得金額に税率をかけて税額を計算します。
この税制では、12,000円を超えた額が所得から引かれて、課税対象所得額が減額されるため税金が低くなります。

【計算例】
所得税率20%・住民税率10%の人が、
対象となるOTC医薬品を1年間に50,000円購入した場合

所得税
(50,000円-12,000円)×20%=7,600円

住民税(翌年度分)
(50,000円-12,000円)×10%=3,800円

合計 7,600円+3,800円=11,400円

11,400円が減税となります。
所得税の税率が高い方ほど、減税の効果は大きくなります。

注意点は?

この税制を利用するためには医療費控除と同様に確定申告をしなければなりません。
2017年1月より制度がスタートしましたので、2017年1月から12月に対象となるOTC医薬品の購入額が12,000円を超える場合には、2018年1月以降に確定申告ができます。
一般的な確定申告の受付期間は2月16日から3月15日ですが、還付申告の場合は2018年1月から5年間申告可能です。

国税庁のホームページには確定申告書等作成コーナーがあり、自宅からでも簡単に還付額を計算することができます。作成した確定申告書はインターネットにより送信、またはプリントアウトして郵送することで提出できます。確定申告にはOTC医薬品購入時の領収書のほか、サラリーマンの方は給与所得の源泉徴収票を用意する必要があります。

また、セルフメディケーション税制は医療費控除制度と併用することはできません。
医療費等の金額が100,000円以上かかり、かつ1年間のOTC医薬品の購入額が12,000円を超える場合は、どちらを選択した方が有利か計算する必要があります。
OTC医薬品購入時の領収書や医療費の領収書はしっかり保管しておくことが大切です。

なお、セルフメディケーション税制を選択して確定申告書を提出した場合には、その後において更正の請求または修正申告書を提出するときに、セルフメディケーション税制から医療費控除への適用を変更することはできません。その逆も同様ですので注意が必要です。


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