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賢く利用して節税を!(小規模企業共済等)

camera_alt 寄稿者 Shutterstock_Jirsakさん

はじめに

節税というと何を思い浮かべるでしょうか。不必要なものを経費で購入したり、利益を翌年以降に先送りにしたりするなどの節税方法を取っている方はいませんか。このような本質を欠いた節税方法は、短期的には効果はあっても長期的には効果はありません。今回は、将来の資金を確保しつつ節税が行える、小規模企業共済と中小企業倒産防止共済という2つの制度についてご紹介します。これらの制度は掛金が経費や所得控除になるなどのメリットがあります。ただし加入期間によっては元本割れなどのデメリットもありますので、加入を検討する際にはメリットとデメリットの両方を良く理解する必要があります。

小規模企業共済

小規模企業共済とは、小規模企業共済法に基づいて昭和40年に発足した制度です。

サラリーマンには勤務先によっては、退職金制度がありますが、この小規模企業共済は、自営業者や経営者の方にとって退職金のような役割を果たします。掛金を支払いにより、引退や廃業した時などに、まとまったお金が払い戻されます。

加入資格

① 建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社等の役員

② 商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社等の役員

③ 事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員、常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員

④ 常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員

⑤ 常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員

参考:(中小機構HP)https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/entry/eligib...

メリット

① 掛金全額が所得控除できる

支払った掛金の全額が所得控除の対象となりますので、たとえば掛金7万円であれば、最高84万円の所得控除を受けることができます。また、前払いした掛金についても向こう1年以内のものであれば控除することができ、最高で168万円の所得控除を受けることができます。

② 掛金は増減可能

掛金月額は、1,000円から7万円までの範囲内(500円単位)で自由に選択することができます。加入後も状況に応じて掛金月額を増額・減額できます。

③ 共済金は一括・分割の選択可能

共済金は、退職時・廃業時に受け取ることができます。

満期や満額というしくみはありません。共済金の受取は「一括」「分割」「一括と分割の併用」から選択することができます。

一括受取を選択すると「退職所得」扱いになり、分割受取を選択すると「公的年金等の雑所得」扱いになります。なお死亡による支払いの場合には相続税法上の「退職手当金等」の取り扱いになります。「事業所得」などに比べて税負担が大幅に軽減されます。

④ 退職金代わりになる

6カ月以上積み立てると、廃業した場合に共済金を受け取ることができ、退職金代わりにすることができます。

また、12カ月以上積み立てると、解約手当金を受け取ることもできます。

⑤ 貸付制度が利用できる

加入者は、掛金の範囲内で事業資金の貸付制度を低金利で利用することができます。

即日貸付けも可能、さまざまな種類の貸付があります。一般貸付制度では、掛金の範囲内(掛金納付月数により掛金の7~9割)で、10万円以上2,000万円以内(5万円単位)で借り入れをすることができます。

デメリット

① 12か月未満の掛捨てリスク

共済金は、個人事業を廃業、法人の解散、解約などの場合に受け取ることができますが、掛金納付月数が6カ月未満の場合は、一部の共済金のみ受け取ることができ、12カ月未満の場合は、準共済金(法人の解散、病気、怪我以外の理由により、または65歳未満で役員を退任した場合)や解約手当金(任意解約や、掛金を12カ月以上滞納した時の機構解約)は受け取ることができません。

② 加入期間20年未満は元本割れ

掛金納付月数が、240カ月(20年)未満で任意解約をした場合は、掛金合計額を下回ってしまい、元本割れしてしまいます。

また、加入期間が240カ月以上でも、途中で掛金を増額したり減額したりした場合で掛金区分ごとの掛金納付月数が240カ月を下回ったときは、任意解約した場合に受け取れる解約手当金が掛金合計額を下回ってしまうこともあります。

③ 受取時には課税される

積立時の掛金は全額が控除額にできるので節税することができますが、受取時には退職所得または公的年金等の雑所得あるいは相続税法上の「退職手当金等」として課税されることになります。

つまり小規模企業共済は、「課税を先送りにする制度」だということもできます。

ただし、退職所得はほかの所得と分離されて計算され、税制上重税とならないよう軽減措置がとられます。具体的には、「(退職金-控除額)×1/2」が所得となり、この所得に応じて納税額を計算します。一定額が控除されるほか、1/2となるので、その分税負担が軽減されます。

退職手当金等は法定相続人の数×500万円の金額までは非課税となり超える部分のみ課税対象となります。

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)

中小企業倒産防止共済とは、取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐことを目的とし、取引先企業が倒産した場合、積み立てた掛金総額の10倍の範囲内(最高8,000万円)で回収困難な売掛債権等の額以内の共済金の「貸付け」が受けられる中小企業倒産防止共済法(昭和52年法律第84号)に基づいた共済制度です。

加入資格

① 製造業、建設業、運輸業等の場合、資本金額3億円以下、又は従業員数300人以下

② 卸売業の場合、資本金額1億円以下、又は従業員数100人以下

③ サービス業の場合、資本金額5千万円以下、又は従業員数100人以下

④ 小売業の場合、資本金額5千万円以下、又は従業員数50人以下

⑤ ソフトウェア業または情報処理サービス業の場合、資本金額3億円以下又は、従業員数300人以下 など

参考:(中小機構HP)https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/entry/eligib...

メリット

① 急に資金を要する場合に一時貸付金の支給が受けられる

取引先の倒産時に、無担保・無保証で必要な資金を迅速に借入れが可能です。一時貸付金は、取引先が倒産していない場合でも12ヶ月以上掛金を納めていれば利率0.9%で利用できます。貸付金額は30万円以上で、上限は納付月数に応じた解約手当金の95%です。借入時には担保も保証人も不要です。

② 掛金が経費算入できる

掛金は税法上、法人の場合は損金、個人の場合は必要経費に算入できます。確定申告の際に所定の明細書を添付することが求められますが、掛金の上限20万円を納付すると年間240万円を経費として計上できるため、節税の対策としても有効です。

③ 40ヶ月以上払い込んでいれば解約手当金が100%返ります。

デメリット

① 解約による元本割れ

任意解約すると、解約手当金として納付月数に応じた額が払い戻されますが、40ヶ月未満だと元本割れします。納付月数が12〜23ヶ月だと80%支払われる一方、12ヶ月未満で解約すると全く返金されないので注意が必要です。

② 解約手当金の課税

掛金は経費計上できますが、解約する時に戻ってくる解約手当金は所得として扱われ課税の対象となります。つまり、納付時点では節税できるものの、返還時には税金を納める必要があるため、税金を納める時期を調整できるというのが厳密な意味でのメリットと言えます。

③ 貸付金の10%が掛金から控除

共済金の貸付けは無利子ですが、貸付額の10%にあたる額が掛金から控除されます。例えば、取引先の倒産などで売掛金の回収が困難となり800万円の貸付けを受けた場合、80万円がすでに納付した掛金から減らされます。さらに、控除された分の掛金は将来的な権利も失われるため、実質的には利子を前払いするかたちとなります。

おわりに

経営者の皆様は、新型コロナウイルスの影響で、補助金などの救済策はあるものの、取引先の倒産、廃業の危機に備え、様々な対策を取る必要に迫られているかと思います。

むやみに節税をしようとすると、結果的に無駄な支出を増やしてしまうことになりかねません。節税対策にもなり、将来に向けての積立ともなる共済制度について、メリットとデメリットを知り、加入を検討してみてはいかがでしょうか。

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