子や孫への教育資金贈与、非課税対象を見直し

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2015年の税制改正で相続税法が改正されたことで、相続税の税率の引き上げと基礎控除の引き下げが行われ、相続税の課税対象が広がった。富裕層の中には、資産防衛の手段として生前贈与を活用する動きが広がっている。一方で、政府は子や孫に教育資金を援助する際の贈与税非課税措置の対象を限定し、制度を厳格化した上で継続する方針だ。

23歳以上の子や孫の「お稽古事」は対象外に

贈与税の基礎控除額は110万円。相続開始の直前の3年分を除き、年間に受け取った贈与額が110万円以下なら非課税となる。また、子や孫の卒業・入学といった節目に学資を援助するのは非課税となってきた。これとは別に、政府は2015年、世代間の資産移転を推し進めるため、30歳未満の子や孫に対する資金援助を一括で行った場合、教育資金目的であれば1,500万円までは非課税とする制度を導入した。

高齢者に偏りがちな資産を若年層に移転するために導入された同制度だが、富裕層から富裕層へと所得が移転することで、経済格差を固定するとの批判もある。2019年3月末で終了する従来の制度では、教育機関への入学金や学費、受験料のほかに、修学旅行代や学用品代といった雑費も非課税の「教育資金」の範囲に含まれていた。

さらに、500万円までであれば、学校外のお稽古事や塾などの費用でも活用できていたのだ。あくまで「教育」目的であれば、資金の使途は広かったといえる。一括で資金移転ができるため、相続税の圧縮を目的に制度の利用が広まり、制度ができた2013年度以降、約19万件、1.37兆円もの贈与に活用されてきたといわれる。

今回の見直しでは、受け取る子や孫の側に所得制限を設けるほか、2019年7月以降は23歳以上の子や孫に対する資金援助の場合、用途を厳格化する。具体的には、趣味・習い事の用途目的での資金援助は対象外になる。また、30歳以上であっても学生であれば制度の対象になる。なお、用途を教育資金に制限しているため、教育目的で使い切れなかった場合は贈与税がかかるので注意が必要だ。

文部科学省の学習費調査(2016年度)によると、幼稚園から大学まで全て私立に通った場合の学習費総額は約1,770万円、全て公立に通った場合は540万円だ。もし、海外の大学に留学するならば、さらに数百万円はかかるだろう。贈る対象の年齢が30歳未満であれば、生後間もないうちからの贈与も可能だが、節税目的で制度を活用するのであれば、子供や孫の進路を見極めて、無駄のないように支援したい。

なお、利用に当たっては金融機関に専用口座を開設し、教育資金として支払った領収書等を金融機関に提出して払い戻しを受ける必要がある。子や孫に内緒で資金を貯め、死後に一括で授与するような場合や、手続きをせずに贈与した場合などは対象外になるので注意が必要だ。

結婚・出産・育児資金の一括援助にも所得制限

子や孫に結婚・出産・育児資金を支援する場合も、受け取る側に所得制限が設けられた。子や孫に年間1,000万円を超える所得がある場合は、非課税の対象にならない。同制度では、20~49歳の子や孫に対する資金援助で、結婚・出産・育児資金目的の場合は1,000万円まで(結婚関係は300万円)非課税の対象だ。例えば、挙式費用や出産費用、不妊治療、子供の医療費や予防接種費用などである。

口座は受取人が50歳になるまで継続し、その時点で口座に残金があれば贈与税がかかる。こうした制度変更により、相続税の圧縮目的で死亡直前にあわてて贈与しようとしても、活用が難しくなるだろう。

相続税とメリット比較して判断を

このように、政府は個人、とくに富裕層の資産移転に対して制限を強化する方針だ。今後、教育資金を援助する際の贈与税非課税措置を活用する場合は、相続税と比べてどちらがよりメリットが大きいかを比較すべきだろう。相続税は、相続する財産や相続人の人数などによっても違いが出てくる。資産防衛に向けて、早め早めに手を打つようにしたい。(提供:百計オンライン)



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