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事業承継の選択肢として M&Aにはどのような種類があるの?

camera_alt (写真=ASDF_MEDIA/Shutterstock.com)

中小企業経営者にとって、いつかは直面しなければならないのが事業継承の問題だ。経営者として自らが築き上げてきた会社がビジネスを継続していくことを望んでいても、後継者不足などから廃業に至るケースもある。そんな中、最近のトレンドとなりつつあるのが、M&A(企業の合併・買収)による事業継承だ。

事業継承のM&Aは1,000件超

M&Aと耳にすると、大企業がグローバル展開を見据えて、海外の事業を手にするため何千億円単位の資金を拠出するケースがニュースなどで伝えられ、中小企業経営者にとっては他人事のように聞こえるかもしれない。しかし、M&Aはいま、中小企業経営者にとっても事業継承の手法として注目を集めている。

2016年11月末に発表された中小企業庁の資料によると、未上場企業間のM&A件数(公表案件ベース)は2011年の400件強をボトムに、2014年には700件弱と、3年間で約1.7倍となった。日本経済は緩やかに回復しており、今後発表される2015年以降の件数も、さらに増加することが予想される。

この件数の中には、純粋な事業拡大を目的としたM&Aも含まれているだろうが、一定数は事業承継を目的としたM&Aもあるだろう。このデータからも、M&Aは大企業の戦略の一つにとどまらず、中小企業にとって身近なものになりつつある姿が浮かび上がる。

実際には、他の中小企業経営者がどのように事業継承を考えているのか気になるだろう。日本政策金融公庫総合研究所の「中小企業の事業継承に関するアンケート」(2015年)では、後継者が決まり、事業を継続する企業は12.4%にとどまる一方、廃業を予定する企業が50%に上った。

廃業を選択する理由としては、「当初から自分の代で廃業を予定」が38.2%と最も多かったが、後継者不足も28.5%と高い割合を示した。廃業を予定する企業のうち、同業者よりも経営状況が「どちらかいうと良い」「良い」と回答した経営者は3割を超え、今後10年の事業についても4割が現状維持以上は可能としている。ポテンシャルがあるにもかかわらず、後継者不足の理由などから廃業という選択肢をとらざるをえない中小企業が多いのが実態だ。

事業形態で異なるM&Aの種類

会社の業績がよかったり、ポテンシャルがあったりする場合、従業員の雇用を守るため、廃業ではなくM&Aによって事業を他社に譲渡して存続させることも選択肢として視野に入ってくる。M&Aといっても、その手法はさまざまだが、ここでは株式譲渡、事業譲渡、吸収合併・吸収分割に分けて取りあげる。

● 株式譲渡
経営者が所有する株式を、事業を譲り受けるA社に売却し、経営権をA社に移転させ、その子会社になる手法だ。会社はこれまで通りの形態で運営し、特許や許認可なども原則として存続する。メリットとしては、経営者が持つ株式を現金化できる上、手続きが他のM&Aの手法と比較すると比較的簡潔でスピーディーであることだ。中小企業のM&Aでは、この形式が用いられることが多い。

● 事業譲渡
譲渡する会社が、事業を譲り受けるA社に対し、特定の事業を売却する手法である。複数の事業を展開する会社が一つの事業を売却し、そのほかの事業を残す場合に最適だ。また、買い手のA社にとっても、必要な事業だけを譲り受けることができる。一方で、債務や債権、雇用関係、契約関係など、権利義務関係を事業ごとに個別に引き継ぐ必要があり、株式譲渡などと比較すると手続きが煩雑なのがデメリットとして挙げられる。

● 吸収合併・吸収分割
吸収合併では、事業を譲り受けるA社の法人格のみを残し、譲渡する会社の法人格は消滅する。その資産や負債、営業の許認可、従業員などをA社がすべて承継する。従業員の雇用形態や勤務条件などの調整や、そのほかの資産や負債にかかる事務処理手続きに関して、2社の間で合意する必要があり、交渉状況によっては、手続きに時間を要することもある。

一方、吸収分割は事業譲渡に近い手法で、複数の事業を展開する会社がA社に対し、全事業か一部の事業を継承させる方法だ。事業譲渡と異なる点は、A社がM&Aの際に、その対価を現金だけでなく、A社の株式にすることもできる点だ。同じ吸収型のM&Aでも吸収分割では、労働契約承継法により従業員の雇用が確保されるメリットがある。

M&Aは、中小企業の事業継承にも有効な手法の一つだ。ただ、その手法は複数あり、事業モデルや形態によって、どれを選択するかでかわってくる。中小企業庁によると、70歳代以上の経営者のうち、事業継承の準備にとりかかっているのは半数にも満たない。M&Aを一つの選択肢として、事業継承について一度検討してみてはどうだろうか。

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