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話題の「リバースモーゲージ」は、庶民の老後の“救世主”となり得るか!?

【転載元】
日本クラウド証券株式会社
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「老後を安心して暮らすためには、年金以外に2000万円が必要……」と騒がれたことは記憶に新しい。しかし、それだけの資産を持っている人はごく少数派……これが庶民にとっての現実といえるだろう。

ならば、老後の暮らし向きをどうやって安心できるようにすればよいのか、庶民は庶民なりになんらかの方策を練らなくてはいけない。

そんな折、ちょっと話題になっているキーワードが「リバースモーゲージ」だ。老夫婦にとって福音となりえるイメージを押し出すテレビCMも、最近よく見かけるようになっている。いったいリバースモーゲージとは何なのか?そのメリットやデメリットは?誰もが抱いている疑問について調べてみた。

リバースモーゲージとは、どんなローン制度?

リバースというのは「逆」という意味、そしてモーゲージは「抵当」という意味の英語になるが、リバースモーゲージ(リバースモーゲージローン)の仕組みを簡単に説明すると、以下のようになる。
●自宅(持ち家)や土地を担保にする↓
●担保にした自宅に住み続けながら、老後資金などを借りるなど
●死後にその不動産を売却して借りたお金を返す
主に、こうした仕組みで成り立つシニア層向けの融資制度が、リバースモーゲージだ。

通常の住宅ローンは、銀行などから融資(住宅ローン)を受けて家を建てる。入居した後に毎月返済(毎月の返済は元本と金利の合計分)していき、完済すれば自宅が自身のものになるという融資制度のこと。この仕組みは一般的なものであるため、多くの人にとってよく知られている。

これに対してリバースモーゲージは、自宅などの不動産を担保として金融機関に提供し、それに対する融資を一括、または年金形式で受け取るというもの。融資の使途(使い道)は自由で、生活費はもちろん、残債が残っている住宅ローンの返済に充てたり、高齢者向け住宅への入居費用などに使ったりしてもよい。

そしてこのローンの大きな特徴は、生前は原則的に、借入金の利息分のみの返済でOKという点にある。ということは、契約者が亡くなった後に、遺族が担保である不動産を売却するなどして、元本を返済する仕組みになる。つまり、一般的な住宅ローンと逆パターンのローンであることがおわかりいただけただろうか。

具体的商品には、どんなものがあるの?

現在、このリバースモーゲージに最も力を入れているのは、東京スター銀行だろう。同行の商品「リバースモーゲージ充実人生」は、55歳以上(配偶者50歳以上)で年収120万円以上の人を対象とし、自宅(一戸建て、マンション)を担保に500万〜1億円の融資を可能としている。

本人、または配偶者の生活にかかわる資金であれば、その使途は自由とされていて、以下の2つがある。
●ATMで、手軽に借り入れや返済ができるカードタイプ
●住宅ローン返済やリフォーム資金など、まとまった額の使い道に利用できる目的タイプ
加えて、預金と同額のローン残高には利息が発生しない点も大きな特徴となっている。

このようなリバースモーゲージを積極的に扱っているのは、東京スター銀行の他に常陽銀行、愛媛銀行、群馬銀行、池田泉州銀行、西日本シティ銀行など、地方銀行が多いのが特徴だ。今のところ3メガバンクは、その取り扱いに慎重な姿勢をとっている。

リバースモーゲージのメリット・デメリットは?

リバースモーゲージのメリット・デメリットには、どんな点があげられるだろうか。表の通り、メリット・デメリット別に5つの項目をあげて整理してみよう。

【リバースモーゲージのメリット】

1.毎月の返済額を減らせる
元金は死亡時に一括返済し、それまでは金利のみの支払いとなるため、住宅ローンなどのまとまった借り入れがある場合、月々の返済額を減額できる。

2.自宅を手放すことなく融資を受けられる
持ち家や土地を担保とするため、自宅に住み続けながら融資を受けられる。持ち家(不動産)はあるが月々の収入が少ないなどのケースには、リバースモーゲージが大きな力となる。

3.借入金の使途が自由
借り入れた資金の使途は、金融機関によって「自由型」と「限定型」がある。自由型であれば、基本的に何に使っても自由。生活資金や旅行費用、リフォーム資金などにも充てられる。

4.シニア層でも審査基準がゆるやか
利用できる年齢は金融機関によって異なるが、55歳以上などシニア層が中心。そのため、収入要件などの審査基準が住宅ローンなどより厳しくない。

5.配偶者に引き継ぐ契約もある
リバースモーゲージは契約者が死亡すると住宅を手放すことになるが、金融機関によってはその契約を配偶者が引き継ぎ、継続できるケースもある。

【リバースモーゲージのデメリット】

1.対象は土地付き一戸建てのケースが多い
金融機関によって違いはあるが、リバースモーゲージの対象となる住宅は、基本的に土地付き一戸建てが多い点が特徴とされる。また、地域の制限がある場合もある。マンションでも利用可能なものは数が少ない現状にあるようだ。

2.推定相続人の承認が必要
利用する場合は、推定相続人全員(子どもなど)の事前承認が必要になる。契約者の死後に住宅が売却されて元本として返済される融資制度なので、相続人が拒否した場合などは利用できないこともある。この承諾を求めない金融機関もあり、この場合は相続トラブルに発展するリスクがある。

3.長寿リスクがある
人生100年時代といわれるように日本人の寿命は年々伸びている。契約者が長生きすればそれだけ融資額も大きくなり、将来の返済額も大きくなる。また、生存中に融資枠を使い切ってしまうリスクもある。

4.不動産価値リスクがある
リバースモーゲージは不動産の価値によって融資額が決まってくる。これは路線価で算出されるのが一般的で、土地の価値が下落すると融資額が見直されることもある。

5.金利上昇リスクがある
リバースモーゲージの金利は、一般的に変動金利を採用する金融機関が多い。将来、金利が上昇すれば返済額が増える可能性もある。

リバースモーゲージの将来性と、利用する際の注意点

リバースモーゲージは、老後資金問題解決の一手段として大きな注目を集めている。加えて、近年は空き家の増加も全国的に問題となっており、その有効活用の手段としても期待が高まっているところだ。

しかし、推定相続人(子どもら)の承認があいまいになれば、相続トラブルが起きるリスクも承知しておかなければならない。さらに契約者の死亡で、残された配偶者が自宅に住めなくなる事態も予想される。こうした点から、契約者本人だけでなく、子どもや配偶者の確かな理解を得たうえでの利用を心がける必要があるだろう。

今回ご紹介した通り、リバースモーゲージはここ最近大きく注目度が高まっている金融商品だが、「銀行の業績低迷」「新視点の金融商品開発」「地銀の競争激化」「年金問題」「人生100年時代」「健康寿命」……といった日本の“いま”を象徴するさまざまなキーワードからも、今後ますますリバースモーゲージに対する注目度が高まっていくことは確かなようだ。
逆転の発想に基づくこの融資制度に対して、地方銀行、メガバンクが、今後どのような動向を見せていくのか。“超”高齢化社会に突入した日本にとって、ひとつの“ものさし”になることは間違いないだろう。

≪記事作成ライター:三浦靖史≫ 
フリーライター・編集者。プロゴルフツアー、高校野球などのスポーツをはじめ、医療・健康、歴史、観光、時事問題など、幅広いジャンルで取材・執筆活動を展開。好物はジャズ、ウクレレ、落語、自転車。

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