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女子の支持を集めて急躍進! ワークマン大ヒットの背景と人気の秘密に迫る

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camera_alt ※記事中の画像は作業服のイメージです

今年(2019年)の注目アイテム・ブランドとして、第23回小学館DIM(ダイム)トレンド大賞や、日経トレンディ2019ヒット商品のナンバーワンに選ばれた作業服販売最大手の「ワークマン」。

同社は2018年9月から、プロ用作業服の高機能性を打ち出した、一般ユーザー向けのプライベートブランド(PB)商品を扱う新型店「ワークマンプラス」を展開。これが女性や若者に受けて大ヒットし、同ブランドの作業服をオシャレに着こなす「ワークマン女子」なる流行語も登場。予想を超える爆発的な売れ行きを受けて、同社はワークマンプラスの出店計画を大幅に上方修正し、既存店の改装や新規出店を急ピッチで進めている。

建設業などのプロ向けだったヘビーデューティ系ブランドが、女性や若者から熱い支持を集める理由とは何なのか……。いま、飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長を続ける、ワークマン大躍進の背景と人気の秘密に迫る。

※記事中の画像は作業服のイメージです

ワークマンプラスの出店効果で業績を一気に拡大

1982年の設立以来、プロ仕様の作業服専門店として堅調に成長してきたワークマン。

とくに昨年以降、ワークマンプラスの出店効果で一般客が急増し、同社の2019年4~9月期の単独決算は、税引き利益が前年同期比52%増の約58億円、売上高にあたる営業総収入は、同比45%増の418億円と大きく拡大した。

今年7月は長梅雨の影響でアパレル業界が低調だったが、同社全店の売上高は前年同月比19%増。猛暑が続いた8月も、PB商品の空調ファン付き作業服や冷感衣料が大ヒットして同比59%増──まさに「向かうところ敵なし!」といった勢いで大躍進を続けている。

ワークマンとワークマンプラスは100%同じ製品!?

ちなみに、ワークマンプラスの売り場に並ぶ商品は、約1700種に及ぶワークマン既存店の商品群から、一般受けするアウトドア&スポーツ系の320アイテムをピックアップしたものだという。同社のHPでも「ワークマンとワークマンプラスは100%同じ製品です」と、機能性が変わらないことをアピールしている。
ただ、同じアイテムを扱っていても、ワークマンプラスの店内の様子は、商品がぎっしりと並ぶプロ向けの従来店舗とはまったく異なる。

たとえば、ワークマンプラス店では着用イメージがつきやすいよう、新たにマネキンのディスプレイを導入し、木目調のインテリアやスポットライトで温かみを演出。商品に手が届きやすい低めの陳列棚や、ベビーカーでもスムーズに通れる広い通路など、既存店にはなかった工夫で女性客にも配慮している。
つまり、新開発のブランド・商品を投入することなく、既存アイテムの見せ方や店舗づくりを変えただけで、これほどの急成長を遂げたのだ。

毎月10店近いペースで新規出店を加速

こうした工夫が功を奏し、2018年9月にオープンしたワークマンプラスの1号店「ららぽーと立川立飛店(東京都立川市)」は、開店時に入場制限が出るほど大盛況で、レジ待ちは30分以上という長蛇の列……。オープン初日だけで、ワークマン既存店の開店セールの売り上げ記録(坪あたりの売り上げ額)を3倍近く更新した。

以降、今年に入ってから毎月10店近いペースで新規出店を続け、現在(2019年12月時点)、全国に展開するワークマンプラスの店舗数は142店に拡大。プロ客が少ない都市部やショッピングセンター内にも一般向けの広告塔として積極的に出店し、ファミリー・カップルや女性客で連日にぎわっているという。

これを受け、同社ではワークマンプラスの出店計画をさらに加速させ、2020年3月末までに店舗数を167店に増やすと発表。また、全国に800店以上展開するワークマン既存店の店内を改装して、プロ向け商品と一般向け商品の売り場を分離した店舗も首都圏を中心に90店増やし、順次ワークマンプラス店としてリニューアルオープンしていく予定だ。

プロ仕様の高機能商品を激安販売できる理由

ワークマン&ワークマンプラスの最大の魅力は、ずばり「プロ仕様の高機能商品が、激安価格で手に入ること」。ここ最近は、一般のアパレルブランドでも「クール&ウォーム」をうたった機能性インナーやパンツなどを扱っているが、同社商品の機能性・コストパフォーマンスの高さは群を抜く。そもそも建築現場といったハードな環境下での使用を想定しているため、それに耐えるタフな機能性と丈夫さはもちろん、デイリーな作業着としての手ごろ感も求められるからだ。

では、なぜ同社の商品は「高機能なのに安い」のだろうか。
売れ筋が流行に左右される一般的なアパレルブランドの場合、シーズンごとに商品を入れ替える必要があるため、工場に発注する量は多くても年間1万着程度とされている。これに対して、機能性が売りとなる同社の商品は、シーズンごとの流行に左右されにくく、3~4年といった長いスパンで一商品を定価販売できる。
そのため、年間100万着単位での大量発注が可能となり、その分だけ一着あたりの生産コストを抑えることができるのだ。

さらに、安く生産する秘密は「工場への発注時期」にもある。ワークマンの商品を生産している中国の縫製工場は、冬物を生産する5~8月と、夏物を生産する11~2月が繁忙期となる。同社はこの繁忙期を避け、すき間の閑散期を狙って大量発注。手が空く閑散期は工場側も仕事が欲しいため、通常より1割以上安く(しかも、より高品質にこだわって)受注してくれるという。
このように、作業服の安定需要という強みを最大限に生かし、発注方法を工夫することで「高機能×低価格」の両立を実現させているのだ。

女性や一般ユーザーを引き付ける「頼れる機能性」

また、ワークマンプラスで扱う商品は、街で着られるような男女兼用のデザイン・カラーや、SS・Sといった小さいサイズが充実しているのも特徴だ。プロ向けの既存店と同じ商品を扱いながらも、一般客を想定した商品展開の工夫で、これまで見向きもしなかった女性客の取り込みにも成功している。

なかでも、子育て世代の女性から絶大な支持を集め、ワークマン女子ブームに火を付けた商品が、水や油に強い厨房用スニーカー「コックシューズ(税込み1900円)」だ。グリップ力の高い靴底を採用したスリッポンタイプで、雨の日や濡れた坂道でも滑りにくく、脱ぎ履きもラクラク。普段着に合わせやすいシンプルなデザインも好評で、マタニティ&ママシューズとして一気にブレイクし、これまでに30万足以上を売り上げる大ヒット商品となった。

また、男女ともに人気を集めている「全天候型 透湿レインスーツSTRETCH」は、ジャケット&パンツ上下のセットで税込み4900円。土砂降りの豪雨・強風にも耐える防水性と、ムレを抑える透湿性・伸縮性を兼ね備え、アウトドアのイベントやスポーツ観戦、釣りやゴルフ、雨天時の自転車通勤やウォーキングなど、幅広いシーンで利用できるという。

その他、火の粉が飛んでも焦げにくい「耐火ヤッケ(税込み1954円)」が、キャンプやバーベキューの“たき火ウェア”としてSNSで話題になるなど、日常使いやレジャーに役立つ「頼れる機能性」が、一般ユーザーを引き付ける最大のポイントとなっているようだ。

機能性をリアルに発信する「過酷ファッションショー」

そうした中、今年9月にJR新宿駅直結の<ルミネゼロ>で開催された、2019年のワークマン秋冬商品展示会は、「過酷ファッションショー」と題した前代未聞のサプライズ演出で来場者の度肝を抜いた。
ランウェイの周囲には降水・降雪機や送風機が設置され、まさに“過酷”な荒天時の環境をリアルに再現。ワークマンの商品をまとったモデルが大雨や暴風、雪の中を颯爽(さっそう)と歩き、防水・防寒服の機能性をスタイリッシュにアピールした。

過酷ファッションショーを企画した理由について、ワークマンの小浜英之社長は「商品の機能性を伝えるため、今までにない発信をしたいと考えた」と語り、今後は、SNSなどで影響力を持つインフルエンサーと共同企画した商品のショーも開く予定という。

Family running in the rain illustration

──こうして、わずか1年で「作業服からポストユニクロ」へ鮮やかに転身し、追随不能なアパレル業界の空白市場で独り勝ちを続けるワークマン。同社は今年度の秋冬PB商品の生産計画を昨シーズンの2.7倍(300億円)に引き上げ、ワークマンプラスの出店強化で売り切ると意気込む。
今後、高機能な作業服を街で着るトレンドが、どこまで浸透・拡大するのかは未知数だが、同社ならではの斬新な提案とサプライズのプロモーションで、「ワークウーマン市場」なる新ジャンルのマーケットが登場するかもしれない……!?

※参考/ワークマンHP、日本経済新聞

≪記事作成ライター:菱沼真理奈≫  
20年以上にわたり、企業・商品広告のコピーや、女性誌・ビジネス誌・各種サイトなどの記事を執筆。長年の取材・ライティング経験から、金融・教育・社会経済・医療介護・グルメ・カルチャー・ファッション関連まで、幅広くオールマイティに対応。 好きな言葉は「ありがとう」。

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