海外不動産投資(1)──思いきって海外不動産に投資する “とき”がきた!
ご存じの通り、日本国内の不動産は「東京23区」などごく一部のエリアをのぞいて、価格変動が少ない不活発な状態が続いており、投資としての魅力には欠けている。
ならば、目を海外に向けてみよう。
東南アジアの新興国では、急速な人口増加とともに不動産価値が上がっていることで、思いきってそちらに資産を投資する方法が、いま大きなムーブメントとなりつつある。そこで今回は2回に分けて、その現状と魅力を探ってみることにしよう。本記事「海外不動産投資(1)」では、新興国の不動産値上がり状況と、海外不動産の購入方法を主にご紹介することにする。
魅力的なアジア新興国の不動産値上がり
バブルが弾けて以降、日本国内の不動産はずっと低迷を続けている。とくに最近では、少子高齢化による人口減の流れがはっきりしてきており、いい意味で「成熟」……、言葉を替えれば「もはや成長は望めない」……そんなイメージが定着しつつある。
一方、海外に目を転じれば、魅力的な不動産はまだまだたくさんある。昔からあこがれていたハワイにコンドミニアムを持つ……、あるいはニューヨークにマンションを持つ……など、それらは個人所有の別荘、資産という意味に限らず、やがて値上がりしたときの売買利益を考えてのことが多い。最近盛んにテレビなどでハワイなどのリゾート地に別荘をもつ芸能人が紹介されているが、市井の人々にとっては、売買利益を得るために別宅を所有している人が多いことも確かだ。
しかし、米国やカナダなどの先進国はすでにかなりの高値になっており、一般投資家でもなかなか手が出せる代物ではない。むしろいま注目すべきはアジアの新興国だ。マレーシアやフィリピンなどは人口増加が激しく、また経済成長も著しい。これらの国ではもともと不動産が安かったところに、アパートやマンションの需要が急速に伸びており、住宅建築も急ピッチだ。そのため不動産価値も年を追うごとに上がっている。
それら先進国、新興国ともども、海外の不動産に思いきって投資する“とき”がきているのだ。
インカムゲインとキャピタルゲイン
では、海外不動産投資で利益を得るためには、どうすればいいのか。大きく分けて二つの手段がある。
●ひとつは、マンションなどの不動産購入後、それを賃貸物件として【家賃収入を得るインカムゲイン】。
●もうひとつが不動産購入後に値上がりを待ち、値上がったところで【売却益を得るキャピタルゲイン】。
【インカムゲイン】新興国・主要都市でのリターン率は東京の倍以上
不動産を購入したら、それを長く持ち、人に貸すことによって定期的な収入を得る投資術・インカムゲインは部屋が埋まっている限り毎月安定した収入を望める。また、経済状況によっては2~3年に一度の割合で家賃の値上げも可能で収入増ものぞめる。
ここでグラフ〈各国主要都市の平均賃貸利回り(%)〉を見てほしい。中央に「東京」が示されているが、一目瞭然、ジャカルタやマニラといった新興国の主要都市の平均賃貸利回りは東京の倍以上に達しており、投資に対するリターン率がいかに大きいかを示している。
同グラフに記された都市のマンション等を購入し、安定的な賃貸経営を続ければ利益はしっかり確保できる。ただしその場合は長期にわたる運営なので、たとえば5年先、または10年先のその国や都市の経済情勢などをある程度見極めなければならない。政情不安などのリスクがあれば、たとえいま利益が出ていても、突発的に何が起こるかわからないので注意が必要となる。
【キャピタルゲイン】価格上昇率160%の国も!
不動産そのものの値上がりを見込んで安いうちに購入し、目標の値に達したタイミングで売却し、売却益を得る投資術がキャピタルゲインだが、ここで大切なのはその都市の成長性と、それに対する住宅の割安感を把握すること。その意味では、経済成長がはなはだしく、地方から人が流入し、住宅不足が発生しつつあるような都市の物件こそ、投資先としては大きな魅力を備えていることになる。
たとえば、クアラルンプール(マレーシア)の例をグラフ(クアラルンプール不動産価格指数)で見てみよう。同都市の不動産価格は、2000年を「100」としたとき、2014年は2.6倍にも達し、つまり160%の価格アップをマークしている。これを単純計算すると1000万円を投資した後、14年後に2600万円で戻ってきた計算になる。まるで、昭和30年代~40年代の日本の高度成長期を思わせる経済成長と人の動き、それに伴う不動産の上昇機運だ。アジアの新興国はいま、不動産投資にとって格好のターゲットとなっている。
海外不動産を購入……。そのとき注意したい3つのポイント
では、具体的にどうやって海外の不動産は購入できるのだろうか。
【① 日本の不動産会社から購入する】
大手の日本の不動産会社では、海外の物件を扱っている。海外の不動産投資をしたいと相談すれば、その投資額や希望の都市などに応じて紹介してくれる。また、一部の不動産会社では海外不動産投資のセミナーを実施しており、積極的に参加することでおのずと道は開けてくるはずだ。
【② 投資したい都市の不動産会社から購入する】
まず現地を視察し、その物件が気に入ったら、その都市の不動産会社から購入する。実際に物件を見て決めるメリットはあなどれないが、よほど語学に精通して、また当事国の税制などを把握していないと、失敗する可能性も否めない。もちろん少額投資ではないので、そこは慎重に事を運んだほうがリスクは軽減される。
【③ 専門のファイナンシャルプランナーに相談する】
海外不動産投資の実績とともに、現地の不動産会社と交流を持っている、あるいはその都市の経済情勢や政治情勢等の情報や、不動産現地事情に精通したフィナンシャルプランナーに相談し、投資額や希望物件について話し合っていく……。実はこれが、3つのポイントの中では一番安心な方法といえるだろう。
── 今回は、新興国の不動産値上がり状況と、海外不動産の購入方法を中心に解説した。
次回「海外不動産投資(2)」では、海外不動産投資のメリットとデメリット、さらには具体的に世界各都市の不動産最新事情等についてご紹介しよう。
≪記事作成ライター:小松一彦≫
東京在住。長年出版社で雑誌、書籍の編集・原稿執筆を手掛け、昨春退職。現在はフリーとして、さまざまなジャンルの出版プロでユースを手掛けている。