【マレーシア】新規感染1万人突破、デルタ株流行か[社会](2021/07/14)
マレーシア保健省は13日、新型コロナウイルスの感染者を新たに1万1,079人確認したと発表した。1万人の大台を突破するのは初めてで、首都圏が全体の約6割を占めている。累計感染者数は85万5,949人となった。新規感染者の増加は、感染力が従来型より強いインド由来の変異株「デルタ株」の流行が一因とみられる。
13日の州・連邦直轄区別の新規感染者数は、スランゴール州が5,263人で最多。首都クアラルンプールが1,521人、ヌグリスンビラン州が1,033人で4桁台となった。
一方、3桁台だったのはクダ州(497人)、サラワク州(472人)、ジョホール州(406人)、ペラ州(329人)、マラッカ州(323人)、パハン州(321人)、サバ州(239人)、ペナン州(234人)、クランタン州(211人)の9州。トレンガヌ州(93人)、プトラジャヤ(77人)、連邦直轄区ラブアン(60人)は100人以下で、ペルリス州はゼロだった。
同日に行われた保健省の首都圏特別タスクフォースによる記者会見でノル・ヒシャム・アブドラ保健局長は、デルタ株の流行が感染者増加の一因との見方を示した。今後1~2週間は増加傾向が続き、その後、減少に向かうと予想している。
ノル局長は「新型コロナの問題を解決するのはワクチン接種」と強調。ワクチンの普及で重症者や死者が減少し、新型コロナと共存する「ウィズコロナ」が可能になるとの見方を示した。
同局長によると、国内のワクチン接種回数は増加しているものの、人口の2割を占めるスランゴール州で接種が遅れているため、政府は同州に100万回分のワクチンを追加で供給する方針。
また、医療崩壊が懸念されている首都圏やヌグリスンビラン州の医療体制も強化する。1,160人の医療従事者を新たに派遣し、公立病院から新型コロナ以外の患者を民間病院へ転院させる費用として1億リンギ(約26億3,000万円)を拠出。民間の医療機関のスタッフを動員し、新規感染者のリスク評価や療養の指示を行う「新型コロナ評価センター(CAC)」も増設する。
■検査体制強化も不十分か
ノル局長は、感染者の増加は検査体制の強化が背景にあるとの認識も示した。特に、州内34カ所で新型コロナ対策の規制が最も厳しい「強化された活動制限令(PKPD)」が敷かれているスランゴール州で、大規模なスクリーニング検査を実施しているためだとみている。
保健省のデータでは、13日の検査数は11万6,869回で、前日を2万7,187回上回った。ただ、検査数が増えているにもかかわらず、陽性率は9.48%と高止まりしている。世界保健機関(WHO)は、感染を制御できているかを判断する基準を「陽性率が5%未満」としている。
■13日に125人が死亡
保健省によると13日には、感染者5,990人が退院または自宅待機を終え、累計回復者数は75万3,328人となった。同日に125人が死亡し、累計死者数は6,385人となった。
13日時点の陽性者数は9万6,236人。集中治療室(ICU)で972人が治療を受けており、うち456人が人工呼吸器を装着している。