【インドネシア】長い列も健康検査あっけなく[社会](2021/04/30)

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インドネシア政府は今月初旬、約3カ月ぶりに海外在住の外国人に対して新規ビザの申請受け付けを開始した。閉ざされていた門戸が開き、インドネシアを訪問する日本人も増えるだろう。新型コロナウイルス感染拡大の水際での防止策はどうなされているのか。ビザを新規に取得しての入国体験を報告する。【高島雄太】

「最近、偽造ビザが多いので確認します」――。24日、羽田空港の国営ガルーダ・インドネシア航空のチェックインカウンターで、職員にe―VISA確認を求められた。新規ビザの発給再開で、「違法にe―VISAを作成する者が増えた」と聞いた。ビザの確認後は、PCR検査の英文証明書を提示。続いて入国後5日間の隔離義務を承諾する書類にサインする。

カウンターの掲示板は、インドネシア政府指定の電子ヘルス・アラートカード(e―HAC)への入力を促していた。「座席番号の入力は必要ない」と書かれているが、手持ちのiPhone(アイフォーン)では座席番号を入力しないと次の画面に進めない。搭乗券を受け取った後、座席番号を入力するも、登録完了を表すQRコードが発行されない。どうしようもないので、そのまま搭乗ゲートへと向かう。

搭乗したGA875便は、エコノミークラス268席のボーイング777―300ER。同クラスの乗客は定員の2割の55人。午前11時45分、定刻に羽田を離陸した。

機内で税関申告書とともに、紙のヘルス・アラートカードが配られる。e―HACに登録できていない可能性があるため、こちらも記入した。出国から入国までに▽パスポート番号▽隔離ホテルの住所▽電話番号――の記入を計3度求められた。すぐに確認できるよう、手元に控えておくと楽だ。午後5時、ほぼ定刻に首都ジャカルタ郊外のスカルノ・ハッタ国際空港に着陸した。

■守られない「十分な距離」

空港到着後は、日本で受けたPCR検査結果と健康状態を確認する。利用客が減り、電気代の節約だろうか、動く歩道は全て停止している。15分ほど歩いて待機場に向かうと、そこには他便で到着した乗客が200人ほど、列をなして待っていた。椅子が用意されているが、とても足りない。

到着した空港は閑散としていた。歩いて検査場へ向かう=24日、スカルノ・ハッタ国際空港(NNA撮影)

到着した空港は閑散としていた。歩いて検査場へ向かう=24日、スカルノ・ハッタ国際空港(NNA撮影)

名前や滞在先を記入する保健省指定の書類が配られ、記入を済ませて待つものの、なかなか前には進まない。インドネシアは現在、断食月。午後6時を過ぎて断食時間が終了し、数人で集まって、保存容器に入った軽食を取る人たちもいる。

遅々として進まない長蛇の列。人々は次第に不満を募らせ、空港係員の「周囲と距離を保ち、着席して待て」との指示にもかかわらず、われ先にと前へやってくる。あきらめたのか、職員は注意をしなくなった。

飛行機から降りて1時間15分、ようやく順番が回ってきた。9カ所の窓口で保健省のスタッフがPCR検査の英文証明書と、先ほど記入した書類を確認する。e―HACのQRコード提示を求められたが、紙のヘルス・アラートカードでも問題ないようだ。体温測定もなく、スタッフは機械的に「体調に異常なし」にチェックを入れ、確認は終了した。あっけなさに、どっと疲れがあふれてきたものの、無事に入国できてほっとする。

ところが、入国審査場を抜け、荷物を受け取って税関検査場に行くと、またも長蛇の列。電話する人、談笑する人、座って仮眠をとる人。すでに十分な距離の確保はうやむやになっていた。

ここでも待つこと1時間。着陸してから空港を出るまで、3時間かかった。妊婦や乳児を連れた乗客、車いすの利用者などは優先的に手続きしてもらえるが、他の人は長時間の待機を余儀なくされる。水や軽食を用意しておくことをおすすめする。また、途中で列から抜ける必要のないよう、機内でトイレに行っておくことが賢明だ。

到着ロビーへ出て、待ち構えている警官に行き先の隔離ホテル名を告げる。今回はジャカルタ中心部の「JS Luwansaホテル」に宿泊する。政府が指定する隔離ホテルのリストは在インドネシア日本大使館のホームページ<https://www.id.emb-japan.go.jp/oshirase21_11.html>から確認できる。大使館によると、リストは日々更新されるため、予約時に隔離施設として指定を受けているか、ホテル側に確認することが必要だ。

警官が大きな声でホテル名を叫ぶと、そのホテルの従業員がやってきた。宿泊予約を確認し、タクシー乗り場へ連れていく。10分ほど待つと、ホテルの運転手が来て手早く荷物を積み込む。今回同乗者はいなかったが、同宿の他の1~2人と同乗することもあるという。

空港から出ると、警官が隔離ホテルを予約しているか確認する=24日、スカルノ・ハッタ国際空港(NNA撮影)

空港から出ると、警官が隔離ホテルを予約しているか確認する=24日、スカルノ・ハッタ国際空港(NNA撮影)

運転手はタクシー会社に勤めているが、現在はホテルの専属ドライバーとして配属されているという。彼の同僚の多くも、政府指定の隔離ホテルへと一時的に配属されたようだ。「来月のレバラン(断食明け大祭)前後の帰省が禁止されたことで、稼ぎが減ると心配だったが、専属ドライバーとして当分は収入の見込みが立つ」と安心した様子。「2月までに2回のワクチン接種を済ませた。外国人の送迎にも不安はない」と話した。

渋滞もなく、30分でホテルに到着した。チェックインは通常の宿泊客と同じカウンターだが、宿泊フロアは分かれている。翌日とチェックアウト前日にPCR検査があることを伝えられ、部屋に入った。窓の外には、車の騒音もビルの明かりもない、暗く静かで異様なジャカルタが広がっていた。

■メニューは豊富、新聞も届く

25日朝8時、防護服に身を包んだ保健省の職員がPCR検査にやってきた。

PCR検査では、鼻咽頭と唾液から検体を採取する=25日、JS Luwansaホテル(NNA撮影)

PCR検査では、鼻咽頭と唾液から検体を採取する=25日、JS Luwansaホテル(NNA撮影)

e―HACのQRコードの提示を求められたので、携帯での登録がうまくいっていないことを伝える。職員によると、アプリの不具合でiPhoneからでは登録に失敗することがある。登録完了のQRコードが表示されない場合、保健省の専用ページ<https://inahac.kemkes.go.id/>から登録できるという。試してみると、今度はQRコードが表示された。登録できたようだ。携帯のe―HACにもアクセスできるようになった。

食事は1日3度、部屋の前の台に運ばれる。メニューは洋食、インドネシア料理から選ぶことができ、飽きることがない。ランドリーサービスは1日4着までで、朝出すと夜には戻ってくる。ミネラルウオーターも毎日3~4本届けられるので困らない。注文しておいた新聞も、毎朝部屋まで届けてくれる。同僚への荷物を渡したい旨を告げると、スタッフが部屋まで受け取りに来てくれた。至れり尽くせりで快適な生活だ。

夕食に注文したミーゴレン(焼きそば)。サテ(串焼き)やフルーツもついて豪華だ=26日、JS Luwansaホテル(NNA撮影)

夕食に注文したミーゴレン(焼きそば)。サテ(串焼き)やフルーツもついて豪華だ=26日、JS Luwansaホテル(NNA撮影)

28日朝、2度目のPCR検査を受ける。気がかりなのは、1度目のPCR検査結果がe―HAC上に反映されないことだ。2度目の検査では両方の鼻の穴から検体を採取した。1度目の結果が陽性だったのかと、不安になる。職員は「そのうち反映されるから待て」と言うのみだ。

5泊の隔離期間を終え、29日午前にチェックアウト。ルームキーを返却すると、保健省からの「隔離期間を終了する。PCR結果が陰性だったことを証明する」旨が記載された書類を受け取った。ほっとして、ホテルを後にした。携帯のe―HACでは、2度目のPCR検査情報のみ表示され、ステータスは「検査中」のままだが……。

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