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【シンガポール】沖縄鶏卵輸出、シンガポール向け前年比12倍[農水](2021/04/13)

沖縄県産の鶏卵のシンガポール向け輸出が急拡大している。日本の財務省の統計によると、沖縄から同国向けに輸出された鶏卵は2020年に約128トンとなり、前年の約11トンから約12倍に拡大した。シンガポールで日本食店を展開するENホールディングスが、県産卵を使ったメニューを提供するレストランの出店を加速していることが背景にあるようだ。日本産の新鮮な卵の需要拡大に加え、沖縄県が生産、流通、消費まで一気通貫で提供できる体制を整えていることも輸出増に拍車を掛けている。

20年の沖縄産鶏卵のシンガポール向け輸出量は、日本産鶏卵の同国向け輸出量全体の約5割を占めた。輸出急増に寄与しているのは、ENホールディングスが展開しているレストラン「たまご園(Tamago-EN)」の出店拡大だ。

同社は、19年6月に沖縄産鶏卵を使ったメニューを提供する「たまご園」のシンガポール1号店を、北東部セラングーンの商業施設NEX(ネックス)にオープン。約2年で国内9店舗を展開するまでに成長した。

ENホールディングスは沖縄産鶏卵を使ったメニューを提供するレストラン「たまご園」を展開している(同社提供)

ENホールディングスは沖縄産鶏卵を使ったメニューを提供するレストラン「たまご園」を展開している(同社提供)

店舗では、沖縄の鶏卵農家と提携して配合飼料から改良を重ね、コクや深みのあるオリジナル卵を使用。卵かけご飯や親子丼、オムライスなどを提供するほか、沖縄産鶏卵の店頭販売も実施している。

ENホールディングスのレイモンド・ウン社長は、「沖縄産鶏卵の味や鮮度、品質が現地の消費者に受け入れられ、店舗展開を進めることができた。新型コロナウイルスの影響で店舗出店に遅延が生じたが、今後もさらなる店舗拡大と沖縄産鶏卵の輸出増に貢献したい」と述べた。

沖縄県シンガポール事務所の池原平所長は、「生でも食べられる新鮮な日本の卵の需要が拡大していると感じている。シンガポールでは卵をコンセプトにしたレストランがたまご園しかないことや、価格が手ごろで味も本格的な点が受け入れられているのではないか」と語った。

シンガポールに輸出可能な日本の認定養鶏場は沖縄を含め7カ所しかないほか、沖縄に認定養鶏場がある強みを生かし、生産、流通、消費の川上から川下までを一気通貫で提供できる連携体制を構築したことも、輸出拡大につながったと説明。「日本産の卵と言えば『沖縄産』と認知されるよう、シンガポール市場で確固たる地位を確立したい」と付け加えた。

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