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【マレーシア】ペナン人工島造成計画が始動[建設](2021/03/29)

マレーシアのペナン島南部沖に人工島を造成する事業が本格的に始動する。建設大手ガムダは25日、造成を予定する三つの人工島のうち一つの造成を100%民間資本で進めることでペナン州政府と合意したと発表した。総事業費は38億リンギ(約1,010億円)。開発期間は約10年で、早ければ来月にも着工する見通しだ。

ペナン交通マスタープランの資料を基にNNA作成

ペナン交通マスタープランの資料を基にNNA作成

ペナン州はペナン国際空港の南側などを埋め立て、三つの人工島A、B、C(計1,821ヘクタール)を造成する計画。ガムダが60%出資するSRSコンソーシアムは昨年7月、州政府から交通インフラ整備計画「ペナン交通マスタープラン(PTMP)」のプロジェクト納入パートナー(PDP)に指名され、この一環で人工島の造成を担うことになっている。

ガムダによると、州政府はこのほど、人工島Aの造成を100%民間資本で進めるという同社の提案を受け入れた。当初はガムダが州政府に総額13億リンギのつなぎ融資を行い、その資金を活用する予定だったが、昨年3月にムヒディン政権が誕生したことで連邦政府から融資保証が得られなくなり、新たな資金調達方法が必要となっていた。

ガムダの提案では、人工島Aの造成は州政府が指定する企業と、ガムダが60%を出資するSRSコンソーシアムが設立する特別目的会社の合弁会社が担う。出資比率は州政府側が30%、SRS側が70%。合弁会社の運転資金はSRS側が全額を拠出・調達し、州政府は財政負担を一切負わない形となる。

ガムダは「数カ月にわたる交渉の結果、人工島Aの造成はペナン州の財源を使わず、民間資本を活用して進めることで合意した」と説明した。

■ハイテク産業を誘致

三つの人工島の造成を巡っては昨年8月、デンマークの建築家、ビャルケ・インゲルス氏が率いるビャルケ・インゲルス・グループ(BIG)が主設計業者に選ばれた。

26日付スターによると、人工島Aの面積の3割に当たる283ヘクタールには環境配慮型の電気・電子産業向け工業団地を開発する計画。人工知能(AI)などハイテク産業を誘致する方針で、「既に不動産開発業者などから、区画の取得に関する問い合わせが寄せられている」(ガムダのモハメド・ラシュダン・ユソフ副社長)という。

一方、島の面積の2割に当たる182ヘクタールには隣国シンガポールのマリーナ・ベイのように、公園やビーチ、遊歩道などを整備する計画だ。

三つの人工島には、ペナン交通マスタープランの一環としてペナン島の北部ジョージタウンと南部バヤンルパスを結ぶ予定のバヤンルパス軽量高架鉄道(LRT、全長29.9キロメートル)が乗り入れることになっている。

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