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【ミャンマー】労組が全面スト呼び掛け[経済](2021/03/09)

ミャンマー国内の18労働団体が、国軍のクーデターに抗議する全面ストライキを呼び掛ける声明を連名で発表した。8日から全労働者が参加するまで、期限を定めないとしており、経済活動がさらに停滞することが懸念される。国軍は昼夜を問わず、軍事クーデターに抗議するため業務を放棄する市民不服従運動(CDM)とデモ参加者に対する弾圧を強めており、混乱は長引きそうだ。デモ活動は続いており、北部カチン州では治安部隊の銃撃によるとみられる死者2人が確認された。

弾圧にもデモが収まる気配はない。砂を入れた袋を積み上げ、バリケードをつくる若者たち=3日、ヤンゴン(NNA)

弾圧にもデモが収まる気配はない。砂を入れた袋を積み上げ、バリケードをつくる若者たち=3日、ヤンゴン(NNA)

声明を出したのは、約6万5,000人が加盟する国内最大のミャンマー労働組合連合(CTUM)など18団体。業種は農業、鉄道、食品、鉱業など広範囲に及ぶ。声明では「通常通りに事業活動を行うことは、国民の力を抑えつける国軍に利することになる」と、全国の全ての労働者にスト参加を呼び掛けた。

CDMは2月初旬から医療従事者や銀行員を皮切りに拡大し、公立病院を含む医療施設の多くが休業している。中央銀行は5日、民間銀行に業務を再開するよう申し入れていたが、銀行は閉鎖されたまま。納税や税関などを担う政府機関にも広がり、行政機能が停止している。

経済の停滞は、数値にも表れてきている。英市場調査会社のIHSマークイットが1日発表したミャンマーの2月のPMIは27.7。政情不安による生産活動の停滞や労働力の不足、原材料コストの上昇などを背景に、1月の47.8 から20.1ポイント急落した。前月比の下落幅は5年前に調査を開始して以来、最大となった。

操業を停止せざるを得ない工場は増えているが、全面的ではない。日本企業の多いティラワ経済特区(SEZ)や縫製業の多いヤンゴン北郊では、稼働を続ける工場もある。ただ、工業団地の関係者は取材に対し「安全面だけでなく、銀行閉鎖による現金不足が深刻だ。9日以降は状況次第でどうなるか分からない」と話す。

■夜間の取り締まり強まる

デモやCDMで統治を揺るがされる国軍側は、いら立ちを強めており、CDM参加者や抗議活動を率いる国民民主連盟(NLD)関係者の夜間の拘束を進めている。

7日夜には、爆発時の閃光(せんこう)とごう音で目のくらみや耳鳴りを生じさせる「スタン・グレネード」と呼ばれる特殊な手りゅう弾を使った取り締まりがヤンゴンで行われ、多くの郡区で爆発音が響きわたった。地元メディアによると、治安部隊はヤンゴンなどの病院や大学、政府機関を占拠。数百人が拘束されたとの情報もある。

ヤンゴンでは、2月まで大規模なデモ隊が集結していた場所を治安部隊が封鎖し、抗議活動の主戦場が住宅地に移った。

デモ隊は砂を入れた袋やレンガを使ったバリケードを築き、催涙弾のガス噴霧を止めるための水が入った多数のレジ袋や消火器などを用意。治安部隊の侵入を阻止しながら、シュプレヒコールを連呼しているが、警官らはちゅうちょせず発砲するようになっている。会員制交流サイト(SNS)に投稿された動画では、拘束者への殴打やバリケードが築かれた路上に火をつける行為も確認されている。

■カチンなどで新たな犠牲者

デモは全土で収まっておらず、7日夜には中部マグウェー管区で1人、8日の日中に北部カチン州で2人が銃撃を受けて死亡した。治安部隊の攻撃とみられる武力行使で亡くなった人は、2月1日からの累計で60人を超えている。

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