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【ミャンマー】クーデター翌週に輸入75%減[経済](2021/03/04)

ミャンマーの輸入額が、2月1日に起きた国軍のクーデター後に急減している。クーデター翌週の2月6~12日の輸入額は1億3,000万米ドル(約137億円)と、1月29日までの1週間と比べて約4分の1に落ち込んだ。市民による抗議デモの本格化により、経済活動や輸入通関に影響が及び始めたことが見て取れる。一方で輸出額は、クーデター直後に前週の半分程度まで落ち込んだものの、翌週にはほぼ回復した。

輸出額と輸入額は年明け以降、増加基調にあったが、クーデターの発生日を含む1週間(1月30日~2月5日)は前週比で急減した。クーデター直後にインターネットが一時遮断され、ミャンマー国内の工場が操業をいったん見合わせるなどした混乱が影響した。

海上を通じた輸出は37%減の1億5,600万米ドルで、輸入は24%減の2億8,600万米ドルだった。対して国境経由は、輸出が1億2,100万米ドルで56%減、輸入が7,700万米ドルで39%減だった。

国境貿易の減少幅が大きいのは、隣国が、ミャンマーの政情不安を理由に陸路での通行を制限したため。ミャンマーでの報道によれば、北東部シャン州ムセでは1日、中国との国境貿易ゲートが封鎖され、スイカを積んだ約500台のトラックが足止めされた。

東部カイン(旧カレン)州ミャワディのタイ国境では、1月30日~2月5日の輸出は前週比15%増、輸入は16%減とおおむね正常だった。ただ、地元紙によれば、政情不安を理由にタイ入国が認められなかったトラックもあったという。

■ミャワディでも深刻化

2月6日の週に入ると、輸出と輸入は明暗が分かれた。輸出は、海上輸送分が前週から横ばいの1億5,600万米ドルだったが、国境経由は前週比2.8倍の3億3,300万米ドルに急増した。一方で輸入は、海上が前週比67%減の9,500万米ドル、国境が56%減の3,400万米ドルと、そろって落ち込んだ。

国境経由の輸出をけん引したのは、中国の需要だ。特にムセからの輸出は、2億6,000万米ドルと前週の4.5倍に伸び、国境貿易での輸出全体の8割を占めた。16日付ミャンマー・タイムズ(電子版)によれば、ムセからの農産品や生鮮品の対中輸出は、クーデター前と変わらぬ水準に戻った。2月12日の春節(旧正月)を控えて、中国の消費が活発化したことが原因とみられる。

輸入急減の背景には、公務員らが出勤を拒否する「市民不服従運動(CDM)」や、デモの拡大がある。ムセでの輸入額は1,300万米ドルで、前週から69%減、前々週から85%減にまで縮小した。ミャンマー・タイムズによれば、輸入業者の業務が停滞し、中国からのトラック100台超が貿易地区に入れない状態に陥った。

ミャワディの輸入額は1,020万米ドルで、前週から45%、前々週からは54%減少した。在タイ物流企業の関係者は15日時点で、「ミャワディでの通関は可能だが、銀行が閉鎖しており、輸入関税の振り込みができない」と影響を認めている。

貿易の減少傾向は、今後も継続する恐れがある。13日以降もCDMが続いており、港湾の船舶代理業務を行う船舶代理局(SAD)が一部で機能不全に陥った結果、輸出入が停滞した。労働者が抗議活動に参加し、工場の稼働率も落ちている。荷動きの鈍化は長引く可能性もある。

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