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【ミャンマー】進出企業の工場再開相次ぐ[経済](2021/02/04)

1日にミャンマーで発生した国軍によるクーデターを受け、操業を一時停止した進出日系企業の製造現場が再稼働し始めた。最大都市ヤンゴン近郊のティラワ経済特区(SEZ)では、3日までに約7割以上が再開。北部の工業団地でも繊維工場が操業を続ける。物流や通信インフラが正常に戻ったことに加え、現時点で国軍の弾圧的な動きはなく、治安が安定しているためだ。

昨年9月、繊維工場での仕事を終えて帰路に就くミャンマーの労働者=ヤンゴン(NNA)

昨年9月、繊維工場での仕事を終えて帰路に就くミャンマーの労働者=ヤンゴン(NNA)

ヤンゴンの南ダゴン郡区とティラワSEZに自動車工場があるスズキは、3日まで従業員を自宅待機とし、生産活動を一時停止したが、4日から再開する。

現地会社スズキ・ミャンマー・モーターによると、新車登録や自動車に関する各種申請を担う道路交通管理局(RTAD)では通常通りの業務が続いている。同社が契約を結ぶ販売店も大半が3日までに営業を再開しており、浅野圭一社長は「安心できる事業環境が確保できると判断した」と話す。

■地方都市の物流、ほぼ正常

即席麺メーカーのエースコックやヤクルトも4日からの再開を予定する。現地会社のエースコック・ミャンマー、平野彰社長は「製品の配送も一時は遮断されたが、現時点では地方都市を含め、ほぼ通常通りに戻っていることが確認できた」と説明。ミャンマーヤクルトの川崎秀樹社長も「納品先からの要望も多く、安全を重視した上での再開を決めた」と話した。

クーデターが発生した1日、国内では電話回線が一時不通となったほか、インターネット網も断裂。基礎インフラの確保が難しくなったり、国軍による制圧行為で幹線道路の通行が阻まれたりする懸念があったが、1日午後からはほぼ1月末までと同様の事業環境に戻っている。

ティラワSEZの運営会社、ミャンマー・ジャパン・ティラワ・デベロップメント(MJTD)によると、SEZ内で生産活動を行う94社のうち、2日までに40社がフル稼働し、10社が一部操業を再開した。ヤンゴン中心部と結ぶ幹線道路の橋が封鎖されるような事態も発生しておらず、4日以降は操業を再開する企業がさらに増える見通しだ。

ヤンゴン北郊のミンガラドン郡区とシュエピタ郡区に工場がある日系繊維メーカーも、夜間の残業は取りやめているものの、通常通りの操業を継続している。2,000人を超える従業員の昼食用のコメを確保し、今後の事業継続に備える。

幹部によると、「空港の閉鎖により、日本への貨物便が欠航となったことによる影響はあったが、その他は出荷に関連した支障は出ていない」。仮に航空貨物便の利用が難しい状況が続いても、タイへの陸送は通常通り行えるという。

もっとも、ヤンゴン市内では国軍を支持する一般市民らが大規模集会や行進を展開し、与党・国民民主連盟(NLD)の支持者を挑発。NLD支持者と衝突が起きれば、国軍が弾圧行為を一気に強め、治安が悪化する恐れは消えていない。事業を継続・再開した工場も、安全上のリスクが浮上した場合には、事業を停止せざるを得なくなる。

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