【香港】最低賃金、初の据え置き=景気後退考慮[経済](2021/02/03)
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香港政府の羅致光労働・福祉局長は2日、原則として2年ごとに検討している法定最低賃金について、見直し年に当たる2021年は、現行の時給37.5HKドル(約510円)で据え置くと発表した。最低賃金が据え置きになるのは、2011年の最低賃金制度導入以来初めて。同日の香港経済日報電子版などが伝えた。
行政長官と行政会議(行政長官の諮問機関)が同日、労使代表から成る政府の最低賃金委員会が行政長官に提出していた、現行最低賃金の維持が妥当とする提言をまとめた最終報告書を承認したという。
羅氏は記者会見で、「今回の提言は香港での深刻な景気後退や高い失業率を考慮した内容だった」と説明。大勢の委員が現行賃金の維持を提案したとも話した。
政府経済顧問の欧錫熊(アンドリュー・アウ)氏は「足元の経済状況は第二次世界大戦以降で最も深刻な衰退だ」とした上で、前回の最低賃金見直しでは3HKドル引き上げ、伸び率は8.7%だったが、実際のインフレ率は5.2%で、両者の差は3.5ポイントだったと指摘。一方、19年5月から20年12月にかけてのインフレ率は1.7%にとどまったと補足した。
羅氏はまた、最低賃金の引き上げにより、生活や給与水準の引き上げを求める声も多くあったと触れつつ、既に最低賃金条例で賃金の行き過ぎた下落を防ぐようにしていると強調。最低賃金は低所得世帯の問題を解決する唯一の方法ではなく、政府は状況改善のために既にさまざまな措置を講じているとした。
香港の最低賃金制度は11年5月に開始。19年5月から現行の37.5HKドルに引き上げられた。