スタートアップの資金調達・ビジネスマッチングサイト

【タイ】20年輸出額6%減、12月は8カ月ぶりプラス[経済](2021/01/25)

タイ商務省が22日発表した貿易統計(速報値)によると、2020年の輸出額は前年比6.0%減の2,314億6,840万米ドル(約24兆200億円)だった。新型コロナウイルス感染症の世界的な流行を背景に、5月から3カ月連続で前年同月比2桁減となったのが響いた。ただし、7月以降は回復基調が続いており、12月は前年同月比4.7%増の200億8,270万米ドルと8カ月ぶりにプラス成長となった。

商務省貿易政策・戦略事務局(TPSO)のピムチャノック事務局長は、「20年の輸出額を前年比7%減と見込んでいたことからすると6.0%減は悪い数字ではない」とコメント。特に12月が8カ月ぶりにプラス成長となったことについて、「電子製品などの主要工業製品が予想以上の回復だった」と話した。

ピムチャノック氏は、12月に特に輸出が好調だった品目として、◇缶詰や冷凍食品◇在宅勤務向け製品や家電◇ゴム手袋などの新型コロナの予防製品――を指摘。新型コロナの世界的な流行が輸出を押し上げたとみられる。また、世界的な生産部門の回復を背景に、プラスチックペレット、化学製品、電子集積回路、コンピューター・電子部品などの輸出も増えた。

12月の輸出額を品目別に見ると、全体の8割を占める「主要工業製品」が6.7%増の162億1,000万米ドル。「電子製品・部品」と「電気製品・部品」がそれぞれ15.9%増の35億1,500万米ドル、13.2%増の22億1,100万米ドルと2桁増となったのに対し、車両・部品は0.2%減の26億4,800万米ドルとわずかながら減少した。

品目の詳細では、「ゴム手袋」が3.2倍に増加したほか、「携帯電話・部品」(33.9%増)、「医療器具・部品」(18.3%増)、「家具・部品」(15.5%増)、「コンピューター・部品」(15.1%増)、「家電」(13.2%増)、「化学製品」(12.2%増)が2桁の伸びを示した。

一方、「農産物・加工品」の輸出額は2.1%増の32億2,100万米ドル。キャッサバ(63.6%増)、ゴム(30.0%増)、ペットフード(25.7%増)、調味料(15.5%増)などの増加が目立った。一方、砂糖(75.4%減)と飲料(11.5%減)は2桁の減少だった。

■米国と日本向け輸出が2桁増

国・地域別の12月の輸出額は、米国が15.7%増の29億7,200万米ドルで最大。中国が7.2%増の28億300万米ドルで続いた。日本が14.8%増の20億4,600万米ドルと大幅に伸びたのに対し、東南アジア諸国連合(ASEAN)9カ国向けは2.7%減の49億600万米ドル、欧州連合(EU)15カ国・地域向けが2.4%減の16億5,100万米ドルと回復の遅れが目立った。

20年通年では、米国が前年比9.6%増の343億4,400万米ドルで最多。中国が2.0%増の297億5,400万米ドルで続いた。日本は6.7%減の228億7,600万米ドルだった。

■21年の輸出額4%増を予想

商務省は、21年の輸出額を前年比4%増と予想。新型コロナワクチンの普及による国際貿易の回復や、各国・地域の政府が実施している景気刺激策、年内に批准が予定されている地域的な包括的経済連携(RCEP)、米国のバイデン政権誕生による保護主義的な政策の転換などが追い風になるとみている。一方、不透明な新型コロナの状況やバーツ高、コンテナ不足を懸念材料として挙げた。

商務省はまた、21年の輸出振興策として、海外の地方政府と個別に締結する自由貿易協定(ミニFTA)を含むFTAの拡大やタイ製品のブランドイメージ改善を進める方針を示した。

関連記事

公式Facebookページ

公式Xアカウント