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【中国】華為、低価格スマホ事業を売却[IT](2020/11/18)

通信機器大手の華為技術(広東省深セン市、ファーウェイ)は17日、「栄耀(オーナー)」ブランドとして展開している中・低価格帯のスマートフォン事業を売却すると発表した。同ブランドスマホの販売代理店などが設立した新会社に全事業を譲渡する。ファーウェイは米国政府の制裁強化によってスマホの部品調達が困難な状況となっており、事業の一部売却を余儀なくされた格好だ。

新会社の深セン市智信新信息技術が、本社所在地深センの有力地元紙、深セン商報などの17日付紙面にオーナー事業の買収についての「聯合声明」を掲載した。

この声明によると、深セン市智信新信息技術には深セン市政府系の深セン市智慧城市科技発展集団やスマホ代理販売大手の天音通信、家電量販大手の蘇寧易購集団など40社が共同で出資する。深セン市智信新信息技術はオーナーのブランドと関連業務、資産を全面的に買収。買収後にファーウェイが「新オーナー」の株式を保有することはないと説明した。

ファーウェイも同日に「声明」を発表。オーナー売却の理由を「産業技術面の持続的な獲得ができず、オーナーとその代理店を存続させるため」と説明。また新会社の経営や方針決定に関与しないと明言した。

ファーウェイの声明にもあるように、今回の売却の背景には米国政府による同社への制裁強化がある。ファーウェイは声明の中で、「巨大な圧力を受けている」と、米国政府の名指しは避けながらも、同国による制裁が事業経営に大きく影響していることを示唆した。米国政府は9月15日から同国技術を使用しているチップのファーウェイへの供給を禁止。これにより、ファーウェイは半導体メーカーからスマホの心臓部であるチップを調達することが困難となっていた。

■売却額は1000億元か

深セン市智信新信息技術、ファーウェイ双方の声明では売却価格は示されなかったが、ITメディアの釘科技が国内各メディアの報道をまとめたところ、オーナーの昨年の利益などから算出して約1,000億元(約1兆5,900億円)に上るとの試算もある。また釘科技は実際の売却時期について、今月末にも発表されるとの見通しを伝えている。

オーナーを巡っては、10月半ばから売却のうわさが中国メディアで報じられていた。当時はスマホ大手の小米科技(シャオミ)や半導体ディスプレーメーカーのTCL科技集団などが売却先の候補として挙がっていた。

■19年の出荷7000万台超

ファーウェイは2013年に主力の「ファーウェイ」ブランドのセカンドブランドとして、若者を主なターゲットとしたオーナーを立ち上げた。オーナーのスマホはオンライン販売が中心で、出荷台数は年7,000万台を超える。19年のファーウェイ全体の出荷台数は2億4,000万台超であることから、オーナーが全体の3割を占める計算となる。

米調査会社IDCによると、第2四半期(4~6月)の世界スマホ市場においてファーウェイは初めてシェア1位を獲得したが、第3四半期(7~9月)には2位に後退した。オーナーの売却により、ファーウェイのシェアは今後縮小する見通し。

昨夏に陝西省西安市で開かれたスマホ新機種発表会で登壇するオーナーの趙明総裁。ファーウェイによると、売却後もオーナー事業の経営陣は残るという(新華社)

昨夏に陝西省西安市で開かれたスマホ新機種発表会で登壇するオーナーの趙明総裁。ファーウェイによると、売却後もオーナー事業の経営陣は残るという(新華社)

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