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【中国】通販「双十一」、過去最高更新[商業](2020/11/12)

毎年11月11日恒例の中国インターネット通販最大の販促イベント「双十一」が行われ、電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)の取引額が11日の午前0時30分時点で3,723億元(約5兆9,300億円)に達し、過去最高を更新した。取引額は日本円にして6兆円を超える勢い。新型コロナウイルス禍での“巣ごもり消費”に加え、今年はセール期間を例年より大幅に拡大したことが取引額の増加につながった。

アリババは今年、傘下のBtoC(企業・消費者間取引)通販サイト「天猫(Tモール)」での双十一セールを11月1~3日、11日当日の2回に分けて実施した。昨年は11日のみの実施で、同日の天猫を中心とした各ECプラットフォームの取引総額(GMV)は2,684億4,400万元だった。今年は1日から11日午前0時30分までの集計で既に前年を上回っている。

アリババのプラットフォームでは、11日午前0時35分時点で欧米の「アップル」、「ナイキ」、「ロレアル」、「エスティローダー」、「ランコム」、中国の「海爾(ハイアール)」、「華為(ファーウェイ)」、「美的(ミデア)」、「小米(シャオミ)」をはじめとする342ブランドでGMVが1億元を突破。うち13ブランドは10億元を超えた。

クロスボーダーEC(越境EC)BtoCサイト「天猫国際(Tモールグローバル)」などを通じた海外からの輸入品のGMVは、11日午前9時時点で美容機器の「ヤーマン」が首位。以下は粉ミルクの「アプタミル」、サプリメントの「スイス」、トイレタリーなどの「花王」、化粧品の「資生堂」、「A.H.C」、脱毛器具の「スムーズスキン」、粉ミルクの「a2」、サプリメントの「バイオアイランド」、高級ファッションブランドの「エンポリオアルマーニ」となっている。

国内の都市ごとのGMVは、11日正午時点で上海、北京、浙江省杭州、広東省深セン、広東省広州、四川省成都、重慶、江蘇省蘇州、江蘇省南京、湖北省武漢の順。海外の消費者とのGMVは、11日午後4時時点で米国、ロシア、マレーシア、シンガポール、フランス、スペイン、オーストラリア、韓国、日本、カナダの順に多い。

アリババのGMVには天猫やCtoC(消費者間取引)の「淘宝(タオバオ)」、BtoB(企業間取引)の「アリババドットコム」といった主要ECプラットフォームのほか、消費者向けECサービスなども含まれている。

■京東、蘇寧も好調

シングルを表す「1」が並ぶ11月11日は中国で「独身の日」とも呼ばれている。アリババは2009年からこの日に独身消費者を対象としたネットショッピングの販促イベントを開始。今では競合他社や実店舗も参戦する一大商業イベントに発展している。

ネットメディアの澎湃新聞や界面新聞によると、京東(JDドット・コム)は11月1日から11日午後2時26分までの成約額が2,431億元を突破し、過去最高を更新した。蘇寧易購は1日から11日午前1時までの成約額が前年同期に比べ72%増加した。

■消費底上げ効果に期待

中国の個人消費の指標となる小売売上高は、1~9月は前年同期比7.2%減とマイナスで、鉱工業生産額の同1.2%増、固定資産投資の同0.8%増と比べ新型コロナによる影響からの回復が遅れている。ただ、小売売上高の中でもオンライン小売り額は9.7%増と好調。国家統計局の報道官は昨年11月の主要経済指標発表の場で、19年11月の小売売上高について「双十一による消費刺激効果が非常に鮮明だった」と述べており、今年もイベントが消費全体を底上げすることに期待が集まっている。

■ECプラットフォーム、独占禁止で規定へ

年々双十一イベントで成約額を伸ばすアリババ、京東、蘇寧などのECプラットフォーム大手だが、当局は各社の規模拡大に合わせ市場独占行為の防止に目を光らせている。

国家市場監督管理総局(市場監管総局)は10日、「プラットフォーム経済の独占禁止ガイドライン」の草案を発表し、意見公募(パブリックコメント)を開始した。草案では、プラットフォーム企業が出店者に対し他のECプラットフォームへの出店を制限するといった行為を禁じることなどが盛り込まれている。

双十一を前に「ライブコマース」で商品を宣伝する化粧品の販売員=10日、河北省石家荘市(新華社)

双十一を前に「ライブコマース」で商品を宣伝する化粧品の販売員=10日、河北省石家荘市(新華社)

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