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【ミャンマー】キリン合弁、配当金の支払いを停止[食品](2020/11/12)

キリンホールディングス(HD)は11日、ミャンマー国軍系複合企業のミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)との合弁会社2社の配当金の支払いを停止すると発表した。キリンHDは、2社の収益がMEHLを通じて国軍に流れ、軍事目的に使用されているとの疑惑について調査を進めている。

キリンHDとMEHLへの配当金の支払いを停止したのは、ミャンマー・ブルワリー(MBL)とマンダレー・ブルワリー(MDL)の2社。キリンHDは既に3月以降、2社からの配当金を受け取っていない。

配当金の支払いを停止した理由には、キリンHDが調査を進めていることに加え、ミャンマーで新型コロナウイルスの感染が拡大していることもある。キリンHDは「合弁事業を取り巻く事業環境の見通しが著しく不透明」になったと説明している。最大都市ヤンゴンでは9月に、レストランでの店内飲食が禁止されるなど、ビール市場に逆風が吹いている。

キリンHDは2015年にMEHLと締結した合弁契約に基づき、2社に出資している。キリンHDは契約の際に、「合弁事業からの収益は軍事目的に使用しない」という条件を付けた。

ただ、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)の調査によれば、MEHLは、株主である国軍に配当していたとされる。アムネスティは、2社の収益が国軍への配当の原資となっている疑いがあると指摘した。

キリンは、ミャンマー合弁事業による収益が軍事目的に使用されることは「全く受け入れられない」と強調している。国軍は、西部ラカイン州のイスラム教徒少数民族ロヒンギャの迫害で、国際的批判にさらされている。

キリンHDは、合弁事業の収益の使途を明らかにするための独立調査に、デロイト・トーマツ・ファイナンシャル・アドバイザリーを起用。新型コロナウイルスの再拡大などがなければ、年末までに調査を完了させることを目指している。また、MEHLとの合弁事業の持分所有の見直しも検討している。

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