【インド】オリンパス、内視鏡AI診断医師の育成支援[医薬](2020/10/22)
オリンパスは20日、インドで内視鏡診断の医師を育成する事業に参画すると発表した。人工知能(AI)を搭載した内視鏡やソフトウエアを提供し、日本から派遣される医師を通じて現地の医師を育成する。並行して12月に内視鏡AI診断支援システムを同国で発売し、内視鏡診断の需要拡大に対応する。
12日に本格始動した総務省の事業「インドにおける超拡大内視鏡によるAI診断支援システムの国際展開に向けた調査研究」に参加する。インドの大手医療機関「アジアン・インスティテュート・オブ・ガストロエンテロロジー(AIG)」に自社の内視鏡AI診断支援システムを設置する。昭和大学横浜市北部病院から派遣される医師はそれを用いて、AIGの医師に大腸内視鏡による病変の検出から鑑別診断までのトレーニングを実施し指導医を育成する。
昨年インドで発売した超拡大腸内視鏡「エンドサイト」に加え、それに組み合わせて大腸病変をAIがリアルタイムで解析し、腫瘍性ポリープ・非腫瘍性ポリープの可能性を数値で示す診断支援ソフトウエア「エンドブレイン」、通常の内視鏡に組み合わせて病変が映っているかをAIが推測できる「エンドブレイン―アイ」の計3種類を提供する。オリンパスの広報担当者は、インドでは経済成長に伴ってがん罹患(りかん)率の上昇が予想される中、がんの早期発見や治療に有効な内視鏡の精密診断を行える医師の数が不足していると説明。「AI支援機能を搭載したシステムは、医師の育成を加速できる」と話した。
オリンパスの2020年3月期の売上高の半分以上を占める内視鏡事業のうち、海外が84.6%の約3,600億円を占める。「国・地域別でインドは中国、韓国、オーストラリア、香港に次ぐ5位だが、近年は2桁成長が続いており、大きな潜在力がある」(広報担当者)という。