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【インド】70万人超の自国民が帰国[運輸](2020/07/28)

インド政府は、コロナ禍で帰国を求める在外インド人の支援を目的に、「バンデ・バーラト・ミッション」と名付けた取り組みを進めている。民間航空省によると、現在はミッションの第4弾に当たり、今月25日までに空路で70万人以上が帰国した。8月からは第5弾が始まり、北米や欧州、中東、東南アジアとの間で帰国を目的とした旅客便の運航を予定する。外国からの帰国者の増加は新型コロナウイルスの感染拡大の要因にもなりかねないが、専門家は「政府は細心の注意を払っている」と指摘する。

帰国者の輸送を主に担ってきた国営エア・インディア(PTI通信)

帰国者の輸送を主に担ってきた国営エア・インディア(PTI通信)

インド外務省が今年2月に公開した資料によると、海外には推定1,362万人のインド国民が住んでいる。インド政府は3月22日、新型コロナ対策として国際線の運航を原則停止。バンデ・バーラト・ミッションは、海外に取り残されたインド人を主に旅客便で輸送することを軸に、5月7日から段階的に開始した。

民間航空省によると、今月25日までの空路での帰国者数は合計70万7,671人。国営エア・インディアと子会社のエア・インディア・エクスプレスが26日までに1,373便を運航し、25万7,014人が帰国した。加えて、チャーター便での帰国者数は25日までに45万5,359人となった。

インド報道情報局(PIB)で民間航空省を担当するナビカ・グプタ氏によると、チャーター便には格安航空会社(LCC)国内最大手インディゴやLCCスパイスジェットなどのインドの民営航空会社や、海外の航空会社が運航した旅客便などを含んでいる。

インディゴは、19日にツイッターへの投稿で「42日間で国際線487便を運航し、7万5,000人余りを帰国させた」と明らかにした。外務省が発行する便名リストによると、6月10日から始まったバンデ・バーラト・ミッションの第3弾以降は、インディゴとスパイスジェットのほか、LCCゴーエア、ビスタラ航空も旅客便を運航している。

日本との間では、エア・インディアが5月28日、6月1、21、22日、7月15日の日程で東京からの便を運航。今月29日にも運航を予定する。

民間航空省によると、空路の他に陸路(25日時点で10万5,063人)や海路(軍艦、同3,987人)でインドに帰国した人もおり、バンデ・バーラト・ミッションによる帰国者の総数は25日時点で82万9,956人となった。

■感染予防策は「適切」

海外からの帰国者の増加は、新型コロナの国内でのさらなる感染拡大につながりかねない。ただ、オーストラリアの医療分野の調査機関ジョージ・インスティテュート・フォー・グローバル・ヘルスのオーメン・ジョン(Oommen John)上席研究員はNNAに対し、「政府は細心の注意を払っている。新型コロナを広める懸念は残るが、適切な予防策が講じられている」とコメント。感染予防は十分との見解を示した。

■第5弾は1カ月間

5月7日に始まったバンデ・バーラト・ミッションは段階的に実施され、現在は第4弾(7月3日~8月1日)の期間に当たる。8月1日から始まる第5弾は、同月31日までの予定だ。

プリ民間航空相によると、第5弾では米国、カナダ、カタール、オマーン、アラブ首長国連邦(UAE)、シンガポール、ドイツ(フランクフルト)、フランス(パリ)、サウジアラビア、バーレーン、ニュージーランド、フィリピンなどとインドを結ぶ。接続する都市は今後増える可能性があるという。

エア・インディアも26日に8月1日からの第5弾の開始を公表し、予約の詳細は「間もなく発表する」としている。

国際旅客便の運航では、プリ氏が16日に米国、フランスとの間で運航を限定的に再開すると発表。新型コロナの感染拡大で定期的な国際便が運休となった場合の商用旅客便の再開を目的とした2国間の一時的な取り決め「トランスポート・バブルズ」を両国それぞれと結んだ。現時点までにドイツとも同様の取り決めを結んでいる。

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