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【香港】週末も域内感染増加[社会](2020/07/13)

香港では週末の10~12日も新型コロナウイルス感染者の新規確認が相次いだ。感染者は3日間で合計104人に上り、このうち75%に当たる78人を市中感染者が占めた。市中感染者は飲食店や高齢者施設の利用者以外に公営住宅の住民、児童・生徒らにも広がり、香港政府衛生署衛生防護センター(CHP)の担当者は香港で新型コロナ感染が拡大して以降で「最も深刻な状況だ」と危機感を表明。医療専門家の間では政府に在宅勤務を早急に再開するよう促す声が上がっている。

官営メディアRTHKなどが伝えた。

政府の発表によると、新型コロナ感染者数は10日が38人、11日が28人、12日が38人に上り、12日時点の累計感染者数は1,469人となった。

このうち市中感染者数は10日が32人、11日16人、12日30人と高い水準で推移。3週間ぶりに確認された今月5日以降の8日間では143人に達した。

12日は、既に複数の感染者が確認されている九龍地区・牛池湾のかゆ・麺専門店もしくは同地区・佐敦の茶餐庁(香港式大衆カフェ)への訪問歴のある男女少なくとも4人の感染が判明。牛池湾の学校に通う女子生徒(13)や香港島・北角(ノースポイント)の学習塾に通う男児(7)も感染していた。

衛生防護センター伝染病処の張竹君主任は11日夕の会見で、さまざまな場所で感染が確認されていることを挙げ「市民の予防意識が低いと、感染状況はより一層深刻なものになる」と警鐘を鳴らした。12日の会見では、市民に対し向こう1~2週間は外出や会合の機会をできるだけ減らすよう呼び掛けた。

■状況悪化に懸念

市中感染者の急増を受け、医療専門家からは、政府に在宅勤務を早急に再開するよう促す声が上がった。

医師会に当たる香港医学会の梁子超・伝染病顧問委員会主席は、政府に公務員の在宅勤務を直ちに再開するとともに、民間企業は政府に追随するよう呼び掛けた。大型イベントの中止も含め、対策を講じない場合、「感染が1~2週間以内に手の施しようがない段階まで広がり、感染を抑え込むチャンスを失ってしまう」と危機感を表明した。

香港大学医学院の梁卓偉(ガブリエル・リョン)院長は12日出演したラジオ番組で、香港の市中感染者1人が3~4人に感染を広げているとの試算を明らかにし、新型コロナ感染の「震源地」となった湖北省武漢市の都市封鎖前よりも高い水準にあると指摘。その上で、雇用主には柔軟な勤務体制を導入し、従業員の在宅勤務を認めるよう求めた。

香港大の袁国勇教授(微生物学科)は12日、政府の現在の感染防止策について「合理的だ」と評価する一方、5~7日後に感染状況が一層悪化した場合、「以前のように厳しい感染防止措置を行う必要がある」との認識を示した。

■ブックフェア開催に関心

感染者の確認が続く中、書籍関連の大型見本市「香港書展(香港ブックフェア)」(会場、香港島・湾仔の香港会議展覧中心)が15~21日に予定通り開催されるかどうかにも注目が集まっている。

政府食品・衛生局の陳肇始(ソフィア・チャン)局長は11日、ブックフェアについて問われた際、「大型イベントには(新型コロナ感染の)リスクがある」との認識を表明。一方で「出展業者は人数制限といった感染防止策を行い、従業員にも衛生面への注意を求める」と述べ、主催者側に中止を求めていないことを明らかにした。イベントを主催する香港貿易発展局(HKTDC)は予定通り開催する方針を示した。

昨年は7日間の会期中に延べ約98万人が来場した。多数の市民が屋内に集まることで、感染拡大につながらないか懸念も浮上している。

香港大医学院の梁氏は、「大規模イベントはできるなら取りやめた方がいい」と発言。香港中文大学の許樹昌(デビット・ホイ)教授(呼吸器学科)も「(感染拡大を防ぐためには)ブックフェアの中止が理想的だ」と強調した。

中止を促す声も強いが、香港大の袁氏は「社会・経済活動を完全に停止することはできない」とも強調。ブックフェアを開催する場合は、来場者にマスクの着用を義務付け、会場での飲食をしないよう求めるなど「リスク管理と感染防止措置をしっかりと行わなければならない」と述べた。

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