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【ミャンマー】ミャンマー人材の来日切望[経済](2020/07/08)

新型コロナウイルスの感染拡大で入国制限が続く中、ミャンマーで日本への人材送り出しの再開に向けた準備が早くも始まった。国内での失業者の増加もあり、働き手にとっての日本の魅力は相対的に高まり続けている。コロナ禍の日本でも、外国人の一刻も早い来訪を切望する現場は多い。人材送り出しの現場を2回にわたりリポートする。

ミャンマー最大都市ヤンゴンの送り出し機関ミャンマー・ユニティでは6月中旬、新型コロナによる規制の強化を受けて中断していた、日本企業とミャンマー人候補者との面接をオンラインで再開した。当初は、日本の企業が出張で現地を訪れる予定だったが、民間航空機の乗り入れ停止で入国できないためだ。

5月から徐々に運行が再開されている高速バスで地方都市からヤンゴンに来た、10~20代の男性8人が、テレビ画面に映し出された東京の建設会社の代表からの質問に答える。「悪天候下でも仕事を頑張れるか」「協調性を持って集団生活し、自炊できるか」――。選ばれるのは2人と、狭き門だ。

オンライン面接をした永和ペーブメント(東京都江東区)は、主に首都圏の道路工事を担う。不規則な時間の業務も多いが、これまでに採用したミャンマー人材7人はうまく根付いてきた。今回採用予定の2人を加えると、社内の日本人とミャンマー人の数は各9人と同数になる。

■「日本人と似ている」

「まじめで、日本人と似ている。一緒に仕事をやっていける人たちだと考えている」。面接中に候補者から出た「ミャンマー人をどう見るか」との逆質問に、渡辺大輔社長は単語を分かりやすく区切った日本語でこう答えた。

ミャンマー人の日本への関心は、近年うなぎ上りだ。2019年12月に実施された同年2回目の日本語能力試験(JLPT)の受験者数は3万593人となり、東南アジアの国別ではベトナム(4万1,151人が受験)に次ぐ2位。5段階のうち最も初級者にあたるN5(基本的な日本語をある程度理解できるレベル)と次のN4(基本的な日本語を理解できるレベル)だけでみると、ベトナムを5,200人余り上回る。

ミャンマーでは、近年学習を始めた人の大半が、日本もしくは日本での就労を希望しているのが特徴だ。法務省統計で19年6月末に日本に在留していた、ミャンマー人の高度人材・技能実習生と留学生を合わせた数は約2万1,000人。ベトナム人の32万人にはまだ大きく及ばないが、今後の潜在性は大きいとみられている。

ミャンマーの日本語学習熱は高い。新型コロナの影響後も現地の若者と丸山市郎・駐ミャンマー日本大使との会話イベントがオンラインで催された=6月30日、ヤンゴン(NNA)

ミャンマーの日本語学習熱は高い。新型コロナの影響後も現地の若者と丸山市郎・駐ミャンマー日本大使との会話イベントがオンラインで催された=6月30日、ヤンゴン(NNA)

ミャンマーは現時点で、日本にとっての出入国規制の段階的緩和対象に入っておらず、6月末の茂木敏充外相とアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相の会談でも、往来再開は「適切な時期」とするにとどまった。実際の送り出し時期は見通せず、技能実習生などへのビザ(査証)発給は停止されている。

一方、在京ミャンマー大使館は先ごろ公式フェイスブックで、5月末から7月2日までに約140人の入国要望がミャンマーの人材送り出し機関から寄せられていることを明らかにした。

ミャンマー・ユニティで面接を待つ候補者は1,000人余り。新型コロナのパンデミック(世界的大流行)を受け、世界中から出稼ぎ労働者の帰国が相次ぐ中でも、「数人を除くほぼ全てが、日本で働きたいという希望を変えていない」(統括マネジャーの西脇大暉氏)という。

■雇い止めも、回復には時間

日本は今、コロナ禍のまっただ中だ。同社も、人材不足が深刻な建設や介護で一刻も早い人材確保を求められる反面、外出規制による影響を受けたホテル・宿泊業や製造業では、送り出した人材の雇い止めが発生。日本で勤め続けたい若者の意思を受け、他企業に転籍させる対応が必要になった。足元の求人は今、ピーク時の約4割。西脇氏は「回復には時間がかかるだろうが、手探りの中でひとつひとつ対応していきたい」と話す。(続く)

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