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【中国】今年の成長率1%予測、世銀[経済](2020/06/10)

世界銀行は8日発表した最新の世界経済見通しで、中国の今年の経済成長率を1%と予測した。来年は経済活動の正常化、世界各国の封鎖措置の解除により成長率は6.9%に拡大するとみている。

世銀は今年これまでの中国経済について、2月は厳しい防疫措置により多くの業種、地区の経済活動がほぼ停止したと説明。防疫措置の緩和により3月から経済活動は再開を始め、4月には工業生産はプラス成長に転換し、自動車販売も増加するなど復調気配が出ていると分析した。一方で企業の資金繰り悪化、外需の低迷、サービス業の再開が遅れているといった問題が残ると指摘している。

中国国家統計局が4月に発表した第1四半期(1~3月)の実質国内総生産(GDP、速報値)は前年同期比6.8%減で、四半期ベースで統計が確認できる1992年以降で初のマイナス成長となった。世銀は中国経済について「上半期(1~6月)に深刻な失速に見舞われた後、徐々に回復に向かう」との見方を示した。ただ今年と来年の予測は「中国とその他主要経済体が新型コロナウイルスの流行拡大第2波を避けることが前提」としている。

中国政府は5月下旬に開催された全国人民代表大会(全人代、国会に相当)第3回会議の政府活動報告(施政方針演説に相当)で、2003年以降で初めてGDP成長目標を示さなかった。李克強首相は「経済・貿易の情勢は不確定性が非常に高い」と目標を設定しない理由を説明している。

全人代に先駆けて発表された第1四半期の経済成長率はマイナスに落ち込んだが、4月以降の主要経済指標では復調の気配が表れている。4月の鉱工業生産額(一定規模以上の企業対象、付加価値ベース)は前年同月比3.9%増となり、今年初めてプラス成長に転じた。投資と消費はマイナスが続いているものの、1~4月の固定資産投資は前年同期比10.3%減で減少率は1~3月から5.8ポイント縮小、個人消費の指標となる小売売上高は4月に前年同月比7.5%減となり、減少率は3月から8.3ポイント縮小した。ただ5月の輸出額(速報値)は3.3%減と4月のプラスから再びマイナスに転じており、李氏が説明するように外需は依然として先行きの予測が難しい状態が続いている。

■世界の経済成長は5.2%減

世銀は今年の全世界の経済成長について、5.2%のマイナスと予測した。第2次世界大戦以降で最も深刻な衰退と説明している。来年は4.2%増に復調するとみている。

これは先進国が今年年央、新興市場と発展途上国はそれより少し遅れて国内の防疫措置を撤廃するという現時点での見通しが前提となっている。封鎖措置などの解除が遅れ、貿易やサプライチェーンへの影響が長引けば、今年の世界成長率はマイナス8%、来年は1%強のプラスにとどまる可能性も指摘している。

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