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【香港】採決強行、国歌条例案を可決=香港立法会[政治](2020/06/05)

香港の立法会(議会)は4日の本会議で、中国国歌への侮辱行為を禁じる「国歌条例案」を賛成多数で可決した。民主派などの議員が審議続行に激しく反発して議場に液体をばらまくなどの妨害行為を行ったが、最後は梁君彦(アンドリュー・リョン)議長が審議打ち切りを宣言、採決を強行した。6月12日に刊憲(官報)に公示され、正式に施行される見通し。官営メディアのRTHKなどが伝えた。

国歌条例案は、2017年11月に中国の第12期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会で、香港基本法(憲法)の付属文書3に加え、香港で施行することを決定していた。国歌を尊重することが目的で、愛国への強制性はないとしている。ただ、侮辱行為とみなされた場合は禁錮刑が科される。

採決の結果は賛成41、反対1だった。議員70人のうち、民主派の2人が途中で退場を命じられたほか、他の多くの民主派議員も議場から退出し、採決に加わらなかったもようだ。反対票を投じたのは民主派の鄭松泰議員。民主派は中国が進める香港版国家安全法制と合わせて、同条例を「中国による香港干渉の悪法」と批判を続けていたが、過半数を握る親中派が押し切る形となった。

本会議は午前9時に始まり、民主派議員は1989年の天安門事件から31年目に当たるとして全員が黒いシャツで出席。机には白い菊を飾り、「六四を忘れるな」と書かれたプラカードを掲げ、議場は異様な雰囲気に包まれた。民主派議員らは審議の先延ばしを狙い、罰則から禁錮刑を削除し、罰金のみとするなど計21の修正動議を提出したが、正午ごろまでに全て却下された。

午後の会議では、民主派、人民力量の陳志全(レイモンド・チャン)議員と、議会陣線の朱凱廸(エディー・チュー)議員が議場内で腐臭を放つ液体をまいたため、議長代理を務める親中派、民主建港協進聯盟(民建聯)の李慧ケイ(スターリー・リー、ケイ=おうへんに京)主席が退場を命じ、審議が中断した。

その間、警察・消防が現場検証を実施。ペットボトル2本が見つかった。中に茶色の液体と昆虫の死骸が入っていたという。毒性はなかったものの、警察は刑事事件の可能性も含めて調査を進めると表明した。朱氏によると、まいたのは有機肥料だった。「4日は天安門事件から31年目。中国共産党による国歌法は受け入れられず、万年まで臭うという意味を込めた」と話したという。

梁議長は同4時半ごろ、議場内で異臭が残っているとして、別室で審議を再開。議長席に詰め寄る民主派議員を多数の警備員や親中派議員が押し返し、午後5時ごろ採決に踏み切った。

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