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【タイ】電子部品1Q決算、2.6%減益[IT](2020/06/02)

タイ証券取引所(SET)に上場する電子部品メーカー9社の2020年第1四半期(1~3月)連結決算が出そろった。純利益は合算で前年同期比2.6%減の17億7,000万バーツ(約59億9,500万円)だった。新型コロナウイルス感染症の発生国である中国のサプライチェーンの停止などが影響した。新型コロナ禍でバーツ相場が下落したことでマイナス幅は抑えられたものの、一部企業は5月からタイ国内の工場を停止するなど影響が続いている。

NNAのまとめによると、売上高は合算で9.4%減の488億1,000万バーツだった。増益は9社中4社(黒字転換含む)、増収は同3社にとどまった。売上高が最大の台湾のEMS(電子機器の受託製造サービス)大手、新金宝集団(キンポ・グループ)の傘下で、コンシューマー・エレクトロニクス製品を手掛ける金宝電子工業(キンポエレクトロニクス)のタイ法人カルコンプ・エレクトロニクス(タイランド)は、減収増益。

パソコンの周辺機器やセットトップボックスなどの通信機器、ハードディスクドライブ(HDD)、プリンターの販売が低調だった。また新型コロナの感染拡大で中国とマレーシアのサプライチェーンが一時的に停止したことで原料が不足し、製造を延期したため減収となった。ただ、財務コストの圧縮で増益を確保した。

2位の台湾の電源設備大手、台達電子工業(デルタ)のタイ法人デルタ・エレクトロニクス(タイランド)は減収減益。電源設備やファン・熱管理事業が停滞した。

3位のタイのハナ・マイクロエレクトロニクスは、新型コロナの影響で中国浙江省嘉興市の工場の稼働率が、2月中旬の時点で3割以下に低下するなどし、2桁の減収減益となった。売上高は嘉興市での集積回路事業が32%減、プリント回路板アセンブリ(PCBA)事業が37%減だったほか、マイクロディスプレーを製造する米国事業も32%減と落ち込んだ。

4位のEMSを手掛けるタイのSVIは、新型コロナの影響でサプライチェーンに影響が出たことから2桁の減収となった。ただ、新型コロナが流行し始めた1月以降、高止まりしていたバーツ相場が下落したことから、収益は改善。純利益は2.7倍増だった。第2四半期以降は、サプライヤーの稼働再開が見込まれることから、受注に対応できるとみている。

■事業多角化で明暗

プリント基板(PCB)を主力とするKCEエレクトロニクスは、売上高構成比で52%を占める欧州向けが2.1%増、同21%の米国向けが20.6%増と好調だったことに加え、米ドルやユーロに対するバーツ相場の下落を受けて増収増益となった。それでもサプライチェーンに新型コロナの影響が出て、一部の納期は3月から4~5月に遅れたという。

またKCEエレクトロニクスは5月5日、子会社のKCEインターナショナルが、自動車向け部品の需要減退に伴い同7日から稼働を停止すると発表した。

HDDの部品などを手掛けるタイのネックス・ポイントは、電子部品とコンピューター・ソフトウエア事業の売り上げがそれぞれ15%減、22%減と落ち込んだが、ロジスティクス事業は10%増だった。また2月に買収したバスの販売やメンテナンスなどを手掛ける子会社を売り上げを計上したことで、売上高は3.5倍増となった。ネックスは異業種へ参入し、事業の多角化を進めてリスク分散を図っているもようだ。

半導体製造のエレクトロニクス・インダストリー(EIC、5月25日付でワオ・ファクターに社名変更)は、増収となったものの、純損失を計上した。増収の要因は、米中貿易摩擦に伴い、仕入れ先の中国からタイへ切り替えた米国の企業からの受注が増えたことや、子会社を通じて買収した外食事業の売り上げを昨年から計上していることが要因。

一方、新型コロナの感染防止のため、バンコク首都圏で3月22日から飲食店が閉鎖されたことを受け、配達への切り替えや販促費用の増加などで、外食事業での支出が膨らみ、純損失は前年同期よりも拡大。EICは、ネックス同様に他業種への投資を進めているものの、明暗が分かれる結果となった。

自動車やAV機器部品製造の村元工作所(神戸市)のタイ法人ムラモト・エレクトロン(タイランド)は20年9月期第2四半期(1~3月)決算が減収増益だった。新型コロナの影響で、主力の自動車とプリンター部品の売り上げが10%落ち込んだが、同期に本格生産を開始したワイヤレス充電器が穴埋めしたとしている。またバーツ相場の下落による為替差益もあり、前年同期の赤字から黒字へ転換した。

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