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【中国】労働節連休、旅行者は半減[観光](2020/05/06)

中国の労働節(メーデー)連休は、国内旅行者数が前年同期のほぼ半分に落ち込んだ。新型コロナウイルスの国内感染が落ち着きを見せてから最初の大型連休とあって、冷え込んだ経済を盛り上げる消費刺激効果が期待されたが、各地の受け入れ体制も消費者の行動もリスク回避を優先した結果と言えそうだ。観光収入は6割を超える減少となった。

文化観光省は4日、連休中の1~4日の国内旅行者数が延べ1億400万人、観光収入は約432億3,000万元(約6,500億円)だったと発表した。今年の労働節連休は5日までの5連休だが、4連休だった前年と同期間(1~4日)で比較すると、旅行者数は46.7%、観光収入は63.3%、それぞれ減少したことになる。

1~5日の統計では、旅行者数は1億1,500万人、観光収入は475億6,000万元となっている。

■主要観光地で入場規制

中国国営中央テレビ(CCTV)、ネットメディアの澎湃新聞などによると、期間中は観光客の密集に伴う感染リスクを減らすため、多くの観光地で入場規制が敷かれた。文化観光省と国家衛生健康委員会は連休に先立ち、各観光地の入場者数を最大許容人数の3割までに制限するよう各地に通達していた。

北京の代表的な観光地「故宮」は連休初日の1日、新型コロナ感染が拡大した1月下旬以来99日ぶりに営業を再開。入場券の販売は全てオンラインでの実名予約制とし、1日当たりの受け入れ人数を午前3,000人、午後2,000人の計5,000人に絞った。故宮はかねてから1日の観光客が8万人を超えないよう制限を設けていたが、現在はこの通常上限の16分の1に入場者数を抑えている。

清明節連休(4月4~6日)に観光客が殺到し、登山者の密集状態が批判された安徽省の黄山も、今回は国の規定に従い入場者数を最大許容人数の3割、1日1万5,000人までに制限する体制を整えて連休に臨んだ。ただ、ふたを開けてみると初日から3日間の入山者数は最も多い日で1万人程度と規制基準を大きく下回り、近年で最も閑散とした連休となった。

四川省の峨眉山では2日午前、観光客数が制限人数に達したため入山規制が発動された。福建省の独特な集合住宅「土楼」では、見学者の受け入れ上限を1日7,500人に設定していたが、実際の観光客数は初日から3,000人以下にとどまった。

労働節の旅行を巡っては、全国複数の地域で学生や教職員の遠出を禁止する通達が出された。このため、観光地では宿泊予約が急きょ取り消されたケースもあるという。

各観光地ではこのほか、入場者に対して個人情報の登録やマスクの着用、「健康コード」と呼ばれるスマートフォンのQRコード提示などを求めた。

■武漢「黄鶴楼」は前年の3%

新型コロナ流行の中心地となった湖北省でも労働節連休は観光地の営業が再開されたが、観光客の戻りは他地域以上に悪かったようだ。

新華社電によると、同省武漢市のランドマークともいえる観光名所「黄鶴楼」では連休初日の1日、入場者数が約1,600人にとどまった。4万8,000人余りが訪れた前年の5月1日と比較すると97%の大幅減となり、事前に設定していた5,400人の入場制限ラインも大きく下回った。入場者の多くは市内や湖北省内から来た人で、省外からの観光客は少なかったという。

同市内ではこのほか、「東湖風景区」の初日入場者数が前年同期比74.7%減少。省全体で見ても、主要観光地22カ所の初日入場者数は87%落ち込み、観光収入は95%減少した。

■党・政府幹部が視察

澎湃新聞のまとめによると、連休中は各省・自治区・直轄市トップの共産党委員会書記や省区市長らが観光名所などを積極的に視察し、中央の党と政府が求める経済正常化と防疫の両立を実現すべく現地指導に精を出した。

広西チワン族自治区の鹿心社書記は1日、南寧市内の公園や商業施設などを巡回。「旅行商品の供給を増やし、旅行消費を拡大すると同時に、観光地の防疫と、安全で秩序ある開放のための仕事をきちんと行わなければならない」とする中央からのメッセージを現場に伝えた。

安徽省の李錦斌書記は黄山を訪問。観光客の密集を避けるための対策が機能しているかどうか、抜き打ちで視察を行った。

武漢の黄鶴楼を訪れた湖北省の王暁東省長は、居合わせた観光客らに「湖北省は既に感染の『低リスク』地域であり、武漢は健康で安全な都市」とアピール。次回は多くの親戚や友人を連れて湖北、武漢へ観光に来てほしいと呼び掛けた。

書店で本を読む親子連れ。連休中は学童や生徒の遠出を規制した地域も多かった=4日、内モンゴル自治区フフホト市(新華社)

書店で本を読む親子連れ。連休中は学童や生徒の遠出を規制した地域も多かった=4日、内モンゴル自治区フフホト市(新華社)

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