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【韓国】現代自の欧米工場が稼働中断[車両](2020/03/23)

新型コロナウイルス感染症の世界的流行で、韓国の現代・起亜自動車が欧米工場の稼働を中断した。各国が非常事態に突入したことを受けた措置だが、海外販売の7割以上を占める欧米での生産中断が長期化した場合、業績への打撃は避けられない。独フォルクスワーゲン(VW)や仏ルノーなど世界の完成車メーカーも生産中断に追い込まれており、LG化学やSKイノベーションなど電気自動車(EV)バッテリーメーカーへの影響も避けられそうにない。

欧州地域の非常事態宣言を受けて生産を一時停止した現代自のチェコ工場(現代自提供)

欧州地域の非常事態宣言を受けて生産を一時停止した現代自のチェコ工場(現代自提供)

現代自動車は20日、米アラバマ工場で働く従業員が新型コロナウイルスに感染したことが確認されたため、同工場の生産を31日まで停止すると発表した。傘下の起亜自も、現代自のアラバマ工場からエンジンを調達しているジョージア工場の稼働をストップしている。

現代自のアラバマ工場は、セダン「アバンテ」や「ソナタ」、スポーツタイプ多目的車(SUV)「サンタフェ」の生産を担当しており、昨年は計33万5,500台を生産した。起亜自・ジョージア工場は昨年、セダン「K5」やSUV「ソレント」など計27万4,000台を生産し、北米市場で販売した。

現代・起亜自の生産体制への支障は、欧州工場にも及んでいる。19日には、現代自のチェコ工場と起亜自のスロバキア工場について、23日から4月3日まで生産を停止すると発表した。工場停止について現代自の広報担当者は「国境が封鎖されて部品調達に影響がでていることや、社員の安全などを総合的に考慮した」と話した。両工場の昨年の生産実績は、現代自・チェコ工場が31万台、起亜自・スロバキア工場は34万台。

チェコとスロバキア両政府はこのほど、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて非常事態宣言を発令。防疫対策の一環として、外国人の入国禁止や商店の運営中断、国境の封鎖などを実施している。

韓国自動車産業協会(KAMA)によると、現代自の昨年の売上高に占める欧米市場の割合は51.7%に達する。欧米での新型コロナ流行がまだ初期段階である点を考慮すると、生産停止措置の延長により現代自グループへの影響がさらに拡大する可能性が高まっている。

■EV電池も供給停滞

欧州での生産停止は、ほぼすべての世界の主要完成車メーカーに及んでいる。海外メディアなどによると、VWは17日(現地時間)、ドイツやスペイン、ポルトガルにある欧州域内工場の2週間停止を19日から順次適用すると発表。高級車ブランド・ランボルギーニ(イタリア)や二輪車・ドゥカティなどの傘下企業も、同じく生産を一時停止する。ルノーはすでに、17日からフランス内での生産を中断しているほか、ダイムラーは20日から操業を止める計画という。

問題は、主要メーカーの操業中断がサプライチェーンに深刻な影響を与える恐れがある点だ。韓国にとっては、LG化学とSKイノベーション、サムスンSDIのEVバッテリー3社への悪影響が懸念される。

LG化学はルノー向けに、SKイノベーションとサムスンSDIはVW向けに、それぞれバッテリーを供給している。また、3社とも欧州のバッテリー工場は正常稼働しているものの、事態が長期化した場合はバッテリー工場も生産停止に追い込まれるとの懸念がある。

亜洲経済新聞によると、証券市場では新型コロナ流行によるバッテリーメーカーの業績悪化が予想されている。サムスン証券は、LG化学の今年の目標株価を従来に比べ36.5%安の33万ウォン(約2万9,000円)に修正。今後の見通しについては「今年第2四半期(4~6月)まで欧州市場でのEV販売が落ち込む恐れが高まっており、工場のあるポーランドが生産停止命令を出す可能性もある」と指摘する。SKイノベーションとサムスンSDIも先行きが見通せない状況が続くとみられる。

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