【タイ】日本からの渡航に健康証明書[社会](2020/03/20)
タイ民間航空庁(CAAT)は18日、新型コロナウイルス感染症対策として、あす21日午前0時から日本などを含む感染が拡大している地域からタイに渡航する外国人に対して、同感染症の陰性を証明する健康証明書の提出を義務付けると発表した。これまでは中国や韓国など感染者の多い「危険感染症地域」からの渡航者が対象だったが、プラユット首相が17日の演説で適用範囲を拡大させる方針を示していた。日本で健康証明書を入手することは困難とみられ、実質的に渡航が制限されることになる。
CAATが航空事業者向けに発表したガイドラインによると、新たに健康証明書の提出が義務付けられるのは、◇日本(特定の都道府県=北海道、東京、神奈川、千葉、愛知、大阪、京都、和歌山、沖縄)◇フランス◇スペイン◇米国◇スイス◇ノルウェー◇デンマーク◇オランダ◇スウェーデン◇英国◇ドイツ――の11カ国。
過去14日以内にこれらの国へ渡航・滞在歴がある人は、医療機関で作成された新型コロナウイルス感染症の陰性を示す書類を提出する必要がある。証明書は出発日の72時間前までに作成されたものが有効という。これまでにタイ保健省やタイ国際航空は、危険感染症地域からの渡航者向けに健康証明書のフォーマットを提供している(文末の「メモ」参照)。
一方、タイの盤谷日本人商工会議所(JCC)は19日、日本国内では新型コロナウイルス感染症の陰性を証明する健康証明書を入手することが大変困難であるため、タイの入国がほぼ不可能となる懸念があると指摘。その上で、在タイ日本大使館を通じて、タイ政府に運用の改善を求めていると説明した。
また、新型コロナウイルス感染症の治療で10万米ドル(約1,100万円)以上を補償する保険への加入も義務付けた。いずれの書類を各地の空港で搭乗する際にチェックインカウンターで提示する必要がある。もし書類がなければ、搭乗券は発券されないとしている。
CAATは、11カ国から帰国するタイ人についても、搭乗に適した体調であることを示す健康証明書と在外公館が発行する証明書の提示を求める。各種の証明書がない場合は搭乗できないとしている。
タイ保健省はこれまでに、新型コロナウイルス感染症が、感染症法(2015年)の「危険感染症」に指定されたことを受け、中国、マカオ、香港、韓国、イタリア、イランの6カ国・地域を危険感染症地域に設定。同感染症の陰性を示す健康証明書の提出を義務付けていたが、対象範囲を広げて実質的に入国制限を強化した。
入国の際には質問書類の「T8」を記入する必要があるほか、政府が入国後の14日間の動向を追跡するためのタイ空港公社(AOT)のアプリ「AOTエアポーツ」をダウンロードして情報を入力することが求められる。
<メモ>
各種資料のURL
・CAATの新型コロナウイルス感染症の対策ガイドライン<https://www.caat.or.th/wp-content/uploads/2020/03/CAAT-COVID-19-Practical-Guideline-18Mar20-1.pdf>
・同ガイドラインの概要版<https://www.caat.or.th/wp-content/uploads/2020/03/Summary-of-Practical-Guidelines-for-Air-Operators-19Mar20-1.pdf>
・健康証明書のフォーマットサンプル
タイ保健省提供<https://ddc.moph.go.th/uploads/files/1185620200309054135.pdf>
タイ国際航空提供<https://www.thaiairways.com/static/common/imgscontent/news/Medical%20Certificate_TG.jpg>
・質問書類の「T8」<https://www.thaiairways.com/static/common/pdf/news_announcement/T8.pdf>
・AOTのアプリ「AOTエアポーツ」<https://aot-app.kdlab.ai/>