【マレーシア】イオン、全事業所で消毒作業[商業](2020/03/13)
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イオンマレーシアは12日、マレーシア国内で同社グループが運営するショッピングモールや総合スーパー(GMS)、本社オフィスなど全事業所67カ所を対象に、大規模な消毒作業を実施すると発表した。新型コロナウイルス感染症による自粛ムードの中、店舗の安全性をアピールして客足を取り戻し、来月24日に始まるイスラム教の断食月(ラマダン)以降の消費喚起につなげたい考えだ。イオン・グループはまた、今月20日から約3カ月にわたる大規模な販促キャンペーンを実施する。
店舗の消毒作業は、全体で120万リンギ(約3,000万円)を投じ、今月6日から19日まで行う。客足の多い大型店から順に3期に分けて実施する。第1期では、ショッピングモール「イオンモール」とGMS計12店舗、ハイパーマーケット「イオンビッグ」5店舗となる。12日時点で既に13店舗の作業を終えた。
イオンはまた、マレーシア国内のグループ従業員3万人に対して毎日、検温や体調を申告させるほか、店頭に手指消毒剤を設置し、店舗のレジ担当者らにマスクを着用させるといった対応を取っている。
イオンマレーシアのシャフィー・シャムスディン社長は12日の会見で、「(新型コロナウイルス感染症の流行を)われわれへの『注意喚起』だとポジティブに捉え、小売り大手としての責任を果たしたい」と話し、店舗の安全性をアピールした。
■地方店では売り上げ増
新型コロナウイルスの流行で、マレーシアの小売業界では消費の減退が懸念されている。
シャフィー社長は「都心と地方で店舗を展開するわれわれイオン・グループは、立地条件的に幸運だった」と話す。観光客による需要が大きい都心では客足が落ちているものの、地方の店舗はむしろ生鮮品などの売り上げが伸びているという。感染を恐れて外食や遠出を敬遠し、自宅で食事をする人が多くなっているためだ。
このほか、消毒剤などの衛生用品や、自宅で過ごす機会が増えた子ども向けの教材やボードゲームなども売れているという。シャフィー社長は「在庫は十分に用意している。消費者は、焦らず必要に応じて来店してほしい」と呼びかけた。
一方、総菜の売り上げは減少している。イオンでは店頭で調理した揚げ物などの総菜を量り売りしている。新型コロナウイルス感染症の流行を受け、全商品を個別に包装する対応を取った。袋詰めして並べる手間がかかる上、包装材がかさばるため、通常の半量程度しか店頭に出すことができず、販売量が抑えられてしまうという。
■グループ総出で販促実施
マレーシアのイオン・グループは12日、今月20日から大規模な販促キャンペーンを開始すると発表した。小売り部門から金融部門のイオンクレジットサービスまで含めたグループ横断のキャンペーンはマレーシアで初の試み。5月24日のハリラヤ・プアサ(断食明け大祭)から約1カ月後の6月28日まで実施する。
初日となる20日には、首都圏スランゴール州の旗艦店、イオンモール・シャアラムをはじめとする複数店舗で翌日午前6時までの終夜営業を実施し、キャンペーンを盛り上げる。当日は、イオンのメンバーカードを利用した買い物客の中から、購入額が多かった18人に対し、大型テレビなどの賞品をプレゼントする。
イオンはマレーシアで現在、イオンモール28店舗、GMS34店舗、イオンビッグ22店舗に加え、スーパーマーケット「マックスバリュ」9店舗、ドラッグストア「イオン・ウェルネス」74店舗、100円ショップ「ダイソー」24店舗を展開している。