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【インド】農水省が日本の農業を実証、現地で報告会[農水](2020/03/12)

農林水産省は5日、インド西部グジャラート州のアーメダバード近郊で、日本の農業技術をパッケージとして実証する「Jメソッズ・ファーミング」の成果報告会を開催した。会場には、農作物の生産を担った自営女性協会(SEWA)や事業に参画した日本企業の関係者が集まった。

Jメソッズ・ファーミングは日本の高品質な種苗、農薬、肥料、農業資材、IT、コールドチェーンなどをパッケージ化し、インドで実証する取り組みだ。事業の発案者でインド赴任経験のある農林水産省の坂田尚史氏は「赴任当時、インドに参入したいが、個別に参入するのが難しいという企業の声を多く聞いた」と経緯を話す。「たとえ質の高い苗でも、生産技術や流通などが伴わないと質の高い農作物は生産できない」(坂田氏)など、単独でインドへ参入するハードルは高いという。

事業費は819万円で、航空測量を手掛ける国際航業(東京都千代田区)、日本食の海外プロモーションなどを手掛けるラ・ディッタ(東京都港区)のインド法人スシ・アンド・モア・インディア、広告物やイベントの企画・制作などを手掛けるドリームエッジ(東京都目黒区)の3社が受注した。種子や農薬、肥料、ITなどを無償で提供する13社の日本企業が参画し、昨年11月末から日本のキャベツとキュウリの生産をグジャラート近郊の畑で開始した。実証ほ場は、SEWAの会員が所有する40ヘクタールの畑を借り上げた。

収穫量はキュウリが約500キログラム、キャベツが約1.5~2トンとなる見通しだ。収穫期が早かったキュウリは現地の小売店で既に販売している。キャベツは西部ムンバイの和食レストランや高級スーパー「フード・ホール」での販売を計画する。

報告会ではSEWAから「農作物の生産で厳しい状況が続くなかで、わくわくできる興味深い取り組みだった」「全体的に学びが多かった」といった声が上がった一方で、輸送や価格の面での課題も浮き彫りになった。

ラ・ディッタの小里博栄社長は「最終的に農家の利益にならなければ意味がない。インドでは地産地消が根付いており、グジャラート州からムンバイなどの大都市へ輸送する場合コストがかさむが、キュウリやキャベツは価格に反映するのが難しい」と説明。「日本品質の製品を高価格帯で売り込める米に挑戦するなど、今回の事業の取り組みを次に生かしていきたい」と来年度の事業に意欲を見せた。

坂田氏によると、来年度も事業の実施が認められるかは不透明だ。ただ「今回の成果を踏まえて、来年度も実施できるよう努力していく。事業を通じてインド進出を目指す日本企業を支援していきたい」と話した。

成果報告会はSEWAの事務所で開催された。出席者は野菜を栽培する実証ほ場も訪れた=5日、インド・西部グジャラート州(ラ・ディッタ提供)

成果報告会はSEWAの事務所で開催された。出席者は野菜を栽培する実証ほ場も訪れた=5日、インド・西部グジャラート州(ラ・ディッタ提供)

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