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【フィリピン】新型コロナで非常事態宣言[社会](2020/03/09)

フィリピンのドゥテルテ大統領は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて公衆衛生上の非常事態を宣言した。地元各紙が8日伝えた。初の国内感染が確認されたことで、感染が一気に広がるリスクがあると判断した。地方政府を含む財政出動や強制隔離、大規模集会の禁止、渡航制限などがより迅速に決定できるようになる。今のところ感染者数は6人と比較的少ないが、予防的な措置で感染拡大を防ぐ。

新型コロナウイルスで初の国内感染が確認されたことを受け、ドゥテルテ大統領は公衆衛生上の非常事態を宣言した(インクワイラー提供)

新型コロナウイルスで初の国内感染が確認されたことを受け、ドゥテルテ大統領は公衆衛生上の非常事態を宣言した(インクワイラー提供)

保健省は7日、初の国内感染が確認されたことから、新型コロナウイルスに対する警戒レベルを危機的水準に引き上げ、大統領に非常事態の宣言を勧告していた。パネロ大統領報道官は「国民の健康など全ての重要な要素を考慮し、大統領が勧告を受け入れ宣言した」と明らかにした。

非常事態宣言を推奨した理由について、デュケ保健相は「国内感染はまだ少ないが、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて積極的な対策を打つため」と説明した。保健省は先に、新型コロナウイルス対策として、議会に約20億ペソ(約41億6,000万円)の補助金の承認を要請している。

保健省は6日、国内で新型コロナウイルスの感染者が新たに2人確認され、計5人になったと発表。日本に滞在していた48歳のフィリピン人男性と、海外渡航歴がない62歳のフィリピン人男性だった。7日には、62歳の男性の妻(59)にも陽性反応が出たと明らかにした。最初の感染者3人はいずれも中国の湖北省武漢市から来た中国人だった。

48歳の男性が、国際会計事務所大手デロイト・トウシュ・トーマツのフィリピン法人社員だったことから、同社のオフィスがあるマニラ首都圏タギッグ市のボニファシオ・グローバル・シティー(BGC)で警戒感が強まった。BGCには外資企業が多く、同じく財閥企業の本社や外資企業のオフィスが多いマカティ市からも車で20分ほどの距離にある。

デロイトのフィリピン現法は7日、「保健省の指示に従い、必要な対応を取っていく」との声明を出した。タギッグ市のカエターノ市長は「デロイトの社員はモンテンルパ市アラバンの病院に移送され、健康状態は安定している」と説明した。BGCのセントルークス・メディカル・センターは、この男性がスクリーニング検査を受けていたことを明らかにした。

新型コロナウイルスへの対応を巡り、議会ではさまざまな意見が出ている。ゴー上院議員は、大統領府や保健省、労働雇用省、観光省など約10の省庁で構成される作業部会の拡大版として、地方政府を含めた危機委員会の設置を提言した。

ガチャリアン上院議員は、感染拡大の影響をすぐにでも試算するよう経済界に求める決議を提出。政府は280億ペソの景気刺激策が必要との見解を示している。カステロ下院議員は、航空会社や旅行代理店に対し、渡航制限で影響を受ける乗客の予約変更や払い戻しを無料でできるようにすることを求めている。

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