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【中国】広東の隔離措置、対象外の邦人に適用も[社会](2020/03/09)

広東省各市で5日ごろから、同省に到着後14日間が経過していない在留邦人を対象に、居住地の行政当局などが隔離措置を実施しようとする事例が相次いで発生した。新たに導入されたルールの解釈をめぐる行き違いから、少なくとも数十人の邦人が隔離措置の遡及(そきゅう)適用を受けたもようだ。

広東省政府は4日、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染拡大が深刻な4カ国(韓国、イタリア、イラン、日本)からの入国者全員に対し、14日間の隔離措置と経過観察を義務付けると発表した。実施日は5日からで、4日以前に到着した場合は対象外と説明していた。

2月24日に日本から広州市に到着したある邦人ビジネスマンは3月6日午後、居住する街道(末端の行政機関)の職員から電話を受け、「広州市に入ってから10日間しか経過していないので、きょうから4日間自宅待機をしてほしい」と求められたという。同邦人は、やむなく要請に従うことにした。

6日午後5時半ごろ、居住する集合住宅に街道の職員、医療関係者らが訪れ、9日まで自宅で待機するよう言い渡された。隔離中は1日2回、午前と午後に医療関係者が検温などの経過観察を行うと説明され、マスク12枚と水銀体温計を受け取った。同意書に署名も求められたという。

邦人にとっては突然で想定外の事態だったが、要請を受けた当日は一度だけ買い出しに出ることを許された。これ以降、隔離中に生活用品が必要になった場合は、連絡すれば当局者が代理購入して届けると伝えられた。食事はデリバリーを注文することも可能だが、1階入り口から部屋までは建物の管理人に運んでもらうよう指示を受けた。

■3日目に突然解除

7日には1日2回の検温が実施された。同日午後には部屋の前に監視カメラが取り付けられ、管理が強化された。

ところが、8日は午前の検温が行われなかった。問い合わせたところ、隔離措置の解除が決まったと知らされた。数分後、当局者5~6人が自宅を訪れ、最後の観察が行われた。健康状態に異常はなく平熱だったため、9日から出勤することが可能だと伝えられた。監視カメラも取り外された。予定より早く隔離が中止になった理由は説明されなかった。

在広州日本国総領事館によると、5日前後から省内で在留邦人を対象とする隔離措置の遡及適用が相次ぎ、広州、深セン、東莞など各市で少なくとも数十人に対して実施されたという。同領事館は広東省政府に対し、遡及適用を各地に取り下げてもらうよう申し入れを行い、省政府がこれに応じて各市に指示を出したことから、6日夜から隔離解除が順次進んだもようだ。

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