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【ミャンマー】トヨタが地方展開、ハイラックス生産にらみ[車両](2020/02/24)

トヨタ自動車は、ミャンマーの地方での販売店展開を本格化する。現地法人トヨタミャンマーの大出浩之社長は21日、最大都市ヤンゴンで行われた国際モーターショーで、2020年中に、北東部シャン州の主要都市2カ所に店舗を設ける計画を発表した。21年から現地で組み立てるピックアップトラック「ハイラックス」の需要が見込める地域で、生産に先駆けてサービスの強化に乗り出す。全体では、ヤンゴンを含め、現在の2倍の6店舗体制になる。

トヨタミャンマーの大出社長(中央)。現地生産に向けた準備を推進する=21日、ヤンゴン(NNA)

トヨタミャンマーの大出社長(中央)。現地生産に向けた準備を推進する=21日、ヤンゴン(NNA)

トヨタは新たに、シャン州タウンジー、ラショーに各1店舗を設ける。タウンジーはシャン州の州都で交通の要所。農業が主産業で、富裕層も住む。またラショーは鉱業が盛んだ。一方で、周辺の道路事情は悪く、車両への負担は大きい。トヨタは、走行車両の調査や中古車店、修理工場などを視察の上、貨客兼用のハイラックスの潜在的な需要が大きいと判断して出店を決めた。

現地には既に輸入されたハイラックスも多数走っている。大出社長はNNAとのインタビューで、「売るだけではない。サービスも含めて提供したい」と意気込みを見せた。「走っている地域に出すことで、サービスを使って頂ける。もっと近くにお店ができれば、もっと身近にサービスをご提供できる。これも(出店の)大きな理由の一つ」。

トヨタの販売店は現在、ヤンゴンに2店舗、第2の都市マンダレーに1店舗ある。20年にはヤンゴンにも1店舗増やし、店舗数は2倍になることになる。ただ、新車市場の過半を握るスズキは、既に50店舗以上を構える。大出社長は、今後は地方でも出店を推進する方針を示しつつ、「まずサービススタッフを徹底的に教育することからやりたい」と説明。「(店舗の)数を追っているわけではない」と強調しており、販売店網の拡充には時間をかける意向だ。

既存の3店舗は、豊田通商系トヨタ・エー・アンド・サンズ(TTAS)と、三井物産系トヨタ・ミンガラーがヤンゴンに、トヨタGWライオンがマンダレーで展開している。ヤンゴンの新店舗は、トヨタ自動車系販売会社NEZAS(ネザス)ホールディングス(HD、宇都宮市)が現地のヒンター・グループと設立した合弁会社「ヒンター・ネザス」が運営する。タウンジー店はトヨタ・ミンガラーが、ラショー店はトヨタGWライオンが開く。

■都市部の若者にも照準

トヨタは21年2月からミャンマーでピックアップトラック「ハイラックス」を生産する=21日、ヤンゴン(NNA)

トヨタは21年2月からミャンマーでピックアップトラック「ハイラックス」を生産する=21日、ヤンゴン(NNA)

ミャンマーの地方は、幹線道路でも未舗装の区間が多い。雨期になれば、農村部だけでなく都市部でも冠水が起きる。大出社長は「どこでも走れる」ハイラックスは、ミャンマーの消費者に受け入れられると自信を持っている。またタイでは、都市部の若者の間でもハイラックスのデザイン性が評価されて人気だ。発売に向けて、農村、都市部双方の消費者を視野に入れたマーケティング戦略を検討していく。また、提携金融機関による自動車ローンを活用し、中小企業(SME)を含む法人顧客を開拓することも視野に入れる。

■新型肺炎、中韓勢を注視

また、販売店数が増えれば、トヨタは、政府が1店舗当たりの販売台数に制限を設けている輸入完成車(CBU)の取り扱いを増やすことができる。ただ、20年の市場見通しについては、「(不透明で)答えにくい」とした。当初の予測の前提に入っていなかった新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染拡大による影響に加え、中国や韓国メーカーの動向がつかみにくいためだ。

ミャンマーでは、既に現地生産を開始する韓国の現代自動車や起亜自動車などが業界団体に加盟しておらず、販売台数を公表していない。東南アジア諸国連合(ASEAN)自動車連盟(AAF)によると、19年の国内新車販売は前年を25%上回る2万1,916台だったが、大出社長は、韓国メーカーなどを含めれば、3万台規模に達している可能性も示唆した。

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