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【カンボジア】衣料H&M、EU経済制裁で生産体制見直し[繊維](2020/02/21)

欧州連合(EU)がカンボジアに適用している貿易優遇措置の一部停止を発表したことを受け、スウェーデンのカジュアル衣料品大手H&Mはカンボジアでの委託生産に与える影響を精査する方針だ。地元各紙(電子版)が19日に伝えた。

H&Mは、EUが12日に無関税、数量無制限で対EU輸出を認める特恵制度「武器以外の全て(EBA)」の適用を一部停止した影響を調査すると発表。「カンボジアは当社にとって重要な生産拠点だが、優遇措置の一部停止と縫製産業の成長に向けた適切な方針の欠如などを考慮すれば、カンボジアでの生産体制を見直す必要がある」との見解を表明した。

H&Mの生産委託工場で雇用されているカンボジア人労働者は約7万7,000人。バングラデシュの英字紙によると、H&Mはカンボジアでの生産を削減し、中国やインドネシアでの委託生産を拡大する方向性を示唆しているという。

EBAの適用が停止される品目は衣料品や靴、旅行用品、砂糖の一部。影響額は、カンボジアの対EU輸出総額の約5分の1に当たる10億ユーロ(約1,200億円)に上る見通しだ。

H&Mは、カンボジアにおけるEBA適用の重要性を強調した上で、「EUの優遇措置なしでは、カンボジアの縫製産業の変革を促し、近代化を進めるのが困難になる。EBAの一部停止は今後の投資動向にもマイナスに作用する」と指摘した。

労働者運動集団連盟(CUMW)のパブ・シナ会長もH&Mの見解に同意し、政府に対してEBAの全面適用に向けた取り組みを進めるよう要請。使用者に労働協約の締結などを促進し、労働環境の改善を図るべきと訴えた。同会長は、現時点で労働協約を締結している工場は、国内の工場1,000カ所のうちわずか30~40カ所と推測している。

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