【ベトナム】JICAが試薬提供、新型ウイルス対策で[医薬](2020/02/10)
国際協力機構(JICA)は7日、ベトナム・ハノイの国立衛生疫学研究所(NIHE)に対し、新型コロナウイルスを同定できる検査試薬の一部、合計230万円分を引き渡した。ウイルス感染を懸念する人が増えており、診断需要が拡大する見通し。今後、実施中の感染症予防・対応能力向上プロジェクトの一環として、総額1,400万円相当(1,250人分)を提供していく。
NIHEは、患者の確定診断を行うベトナム北部唯一の機関。病院関係者は、新型ウイルスの感染を懸念する人が来院すると、喉の粘液を綿棒などで採取。確定診断を求めるためにNIHEに送る。
JICAベトナム事務所の小中鉄雄所長は「これまで15年間、NIHEの感染症対策を支援してきた」と話した。NIHEの実験室の強化プロジェクトの第3弾を、2017年7月27日~22年7月26日の日程で実施中だ。同プロジェクトへの協力額は概算4億7,000万円。新型コロナウイルスの感染拡大への懸念が広がったことを受け、NIHEが検査試薬の供給を求めた。これに応え、同プロジェクトの一環として緊急支援することを決めた。
今回提供するのは、一般的にも使われているウイルスを検出するための試薬2種。新型ウイルスによりNIHEの備蓄で対応できなくなる可能性があり、「診断需要がさらに増えることが想定される」(JICA専門家)。
ベトナムでは通常、2日ほどで確定診断できるが、需要が増えれば対応にかかる時間が延びる。東南アジアの近隣国では、確定診断のためにサンプルを他国に送る必要がある国もあり、ベトナムは比較的、診断の制度が整っているという。
保健省国際協力局のダン・ベト・フン局長は「日本の協力で多くの医療プロジェクトが実施されている」と謝意を表明。地方の診断需要にも対応できるようにし、ベトナム国内で広がることを予防したい考えを示した。
同国では、7日時点で12人が新型コロナウイルスによる感染症を発症。疑似症状が出ている人は77人と報告されている。