【マレーシア】国内最大の浄水場が稼働、水道供給円滑化へ[公益](2020/01/24)

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政治的問題などから計画が遅延していたマレーシア首都圏の新浄水場「クアラランガット第2浄水場(ランガット2)」が21日、一部運転を開始した。マレー半島東海岸部から首都圏に上水を輸送する「パハン・スランゴール導水計画」の一環で、円借款で建設された両州間を結ぶ導水トンネル完成から遅れること5年、ようやく稼働にこぎつけた。国内最大の浄水場となるランガット2の稼働を受け、慢性的な水不足に悩む首都クアラルンプール(KL)周辺の上水道供給の円滑化が期待されている。

21日に一部が稼働開始したスランゴール州のクアラランガット第2浄水場(PAAB提供)

21日に一部が稼働開始したスランゴール州のクアラランガット第2浄水場(PAAB提供)

財務省傘下の水道資産管理会社プングルサン・アセット・アイル(PAAB)が保有し、スランゴール州の水道事業公社アイル・スランゴールが運営する。PAABは、2014年に地場建設会社のコンソーシアムに9億2,400万リンギ(約250億円)で建設を発注していた。

KL中心部から20キロメートルほど離れた、スランゴール州フルランガットに位置するランガット2の供給網は2系統ある。同日稼働したのは「ストリームB」と呼ばれる系統。最大供給量は1日当たり5億6,500万リットルで、KL市内中心部や南部のほか、南東部のチェラス、スランゴール州バンギに上水を供給する。KL市内のブキジャリル、スンガイベシ、ペタリンの各地区とスランゴール州プチョンへ供給する「ストリームA」と合わせて、ランガット2の最大供給量は1日当たり11億3,000万リットルとなる。

国際協力機構(JICA)マレーシア事務所の担当者によると、ストリームAの給水施設も数カ月以内に完成する予定。ただ、給水対象地区での水道管の整備が完了していないため、フル稼働は22年を予定している。

マレーシア政府は、将来の人口増や経済発展をにらみ、ランガット2の近隣の土地を収用し、第2期事業として同規模の浄水場建設を計画しているという。

■特別円借款で導水施設建設

ランガット2の建設とパハン州からスランゴール州に水を供給するインフラ事業は、1998年に首都圏で発生した数カ月間におよぶ断水を受けて立ち上がった。

ランガット2に原水を送るパハン―スランゴール州間導水トンネル(全長44.6キロメートル)とケラウダム(パハン州)、取水場、パイプラインの建設に向け、日本とマレーシア両政府は05年3月、820億4,000万円を限度とする償還期間40年の特別円借款契約に調印した。導水トンネルの建設は、清水建設と西松建設が各30%、地場のUEMビルダーズとIJMコンストラクションが各20%を出資する共同事業体(JV)が09年に受注し、15年5月に完成した。

ランガット2については、マレーシア連邦政府の予算で建設が進められた。

JICAの担当者によると、05年時点ではランガット2も導水トンネルと同時期に完成する予定だった。しかし、現野党連合・国民戦線(BN)が率いていた当時の連邦政府と、野党だった人民正義党(PKR)が政権を担うスランゴール州の間で水道事業の再編を巡る確執があったことや、06年の上下水道事業法改正が絡み、建設計画は幾度も遅延。導水トンネル完成から5年遅れて、浄水場の一部が稼働した。

スランゴール州には、ランガット2以外にもKL近郊に上水を供給する浄水場がある。しかし、いずれの浄水場も処理能力の限界に近づいており、設備の改修や計画外の稼働停止による断水がたびたび発生している。水資源が豊富なパハン州から輸送した原水を浄化してKL、スランゴール州の180万人に供給するランガット2は、首都圏の水不足解消への貢献が期待されている。

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