【マレーシア】カード決済総額が拡大、非接触型で利用加速[金融](2019/12/26)
英調査会社グローバルデータは24日、マレーシアのカード決済総額が2023年に19年見込み比1.6倍の3,349億リンギ(約8兆8,561億円)に拡大するとの見通しを発表した。クレジットカードのシェアが依然として最も大きいものの、デビットカードを使った少額決済が増えている。個人識別番号(PIN)の入力なしで決済できる非接触型POS(販売時点情報管理)端末の増加により、クレジットカードを持たない人のデビットカード利用が広がっているためだ。
グローバルデータによると、19年のマレーシアのカード決済総額は、前年比12.4%増の2,082億リンギとなる見込み。17年以降、前年比で2桁成長を続けている。
デビットカード、クレジットカード、チャージカード(一括払いのみのカード)の3種のうち、クレジットカードが占めるシェアは19年で67.4%と最大だが、デビットカードのシェアが高まりつつある。デビットカードのシェアは、19年の25.8%から23年には41.8%に達する見通し。
審査を通らずクレジットカードを持てない人も、キャッシュカードを兼ねたデビットカードは利用できる。グローバルデータの上級アナリスト、ラビ・シャルマ氏は「デビットカードの利用は、現金自動預払機(ATM)での現金引き出しから決済へと広がっている」と述べ、その背景について「非接触型POS端末と非接触対応のデビットカードの普及によって、少額決済で利用される場面が増えた」と指摘した。
マレーシアでは、18年1月から全てのデビットカードが非接触対応に切り替えられ、取引1回当たり250リンギ以下であればPIN入力なしで決済できるようになった。デビットカード決済の利便性が向上した結果、18年の非接触型決済の年間利用回数は、前年比3.9倍の4,970万回に急増した。
電子決済の拡大を後押しするため、政府がPOS端末の導入を推進していることも追い風になっている。政府は15年にクレジットカード決済額の0.1%をPOS端末の導入拡大に充てる市場開発基金(MDF)を設立し、20年までに国内のPOS端末台数を80万台に拡大する目標を掲げている。18年末時点の非接触型決済対応POS端末の導入台数は、前年比90.3%増の20万7,562台となっている。