【ミャンマー】損保ジャパン、農家向け干ばつ保険で実績[金融](2019/12/27)
SOMPOホールディングス子会社の損保ジャパン日本興亜が、ミャンマーの国営保険会社などと取り組んできた国内のコメ農家の干ばつによる損失を救済する保険の実証事業が終わり、24日に保険金の授与式が行われた。ミャンマーでは農作物保険がほぼ整備されておらず、今後の普及に向けた布石になる。
実証事業は、国営保険ミャンマ・インシュランス、国営ミャンマー農業開発銀行(MADB)と提携。MADBから融資を受ける、中部バゴー、ザガイン両管区の農家約5万6,000農家を対象に申し込みを受け付けた。人工衛星で観測した雨量データが設定値を下回った場合に、融資額の最大50%を保険金として支払い、干ばつによる損失を和らげる仕組みだ。
損保ジャパン日本興亜によると、実際に1エーカー(約4,047平方メートル)当たり3,000チャット(約200円)の保険を申し込んだのは、世帯数の1%弱に当たる約400世帯。支払われた保険金は約8,000米ドル(約88万円)。観測期間の実際の降雨量が基本となる水準を下回らなかった地域・期間は、支払いの対象にならなかった。
観測で協力した一般財団法人リモート・センシング技術センターで、雨量データと収穫量の関連性を今後も調べる。
ミャンマーの「保険普及率」(国内総生産=GDP=に占める保険料収入の割合)は18年で0.2%。農業はGDPの約25%を占め、農村人口は全体の約7割に上るが、低所得者が多く、保険の認知度も低い。政府は生活向上につながる農作物保険の浸透に期待している。
損保ジャパン日本興亜は、ミャンマー大手エヤワディ(AYA)銀行傘下の損害保険会社AYAミャンマー・ゼネラル・インシュランス(AMGI)に15%を出資。今年11月に合弁事業の正式認可を受け、AMGIを「AYA損保(AYA SOMPO)」に社名変更した。AYA損保は今回の経験を生かし、台風に対応した農業保険の展開などを視野に入れる。