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【タイ】PTTGC、EECの千億バーツ投資が進行[化学](2019/11/11)

タイの石油化学最大手PTTグローバル・ケミカル(PTTGC)は8日、中期的な事業計画を発表した。タイ政府が推進する東部3県の経済特区(SEZ)「東部経済回廊(EEC)」で進行するオレフィン事業の拡大などの総投資額は1,000億バーツ(約3,600億円)に上り、向こう3年以内にプラントが順次完成する見通し。また米国への投資も検討中で来年3月までに投資判断をすることを明らかにした。

現在進行中の事業を中心に中期的な事業計画を発表したPTTGCのコンクラパンCEO=8日、タイ・バンコク(NNA撮影)

現在進行中の事業を中心に中期的な事業計画を発表したPTTGCのコンクラパンCEO=8日、タイ・バンコク(NNA撮影)

10月1日付で就任したPTTGCのコンクラパン最高経営責任者(CEO)は、PTTGCが「リーディング」「グローバル」「ベターリビング(より良い生活)」の3つの柱の下、◇付加価値の高い製品や下流事業の拡大◇第2の生産拠点となる米国への進出検討◇循環型経済に沿った持続可能な成長――を目指すと説明した。

EECで進行中のプロジェクトとしては、投資額約360億バーツのオレフィン工場が2020年中に稼働する予定(進ちょく率73%)。同工場の年産能力は、エチレンが50万トン、ポリエチレンが25万トンとなる。またポリエチレンオキシドとポリオールの工場も20年中に稼働する見通し(同72%)。年産能力はそれぞれ20万トン、13万トンで、投資額は約340億バーツ。これらは下流事業の強化に向けた投資となる。

またクラレと住友商事との合弁会社クラレGCアドバンスト・マテリアルズが着工した高機能樹脂工場は22年中に稼働を目指す。投資額は約150億バーツ。生産品目はブタジエン誘導品の高耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ(PA9T)」(年産能力1万3,000トン)と水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー「セプトン」(同1万6,000トン)で、自動車や電子部品など使用を見込む。

このほかオーストリアのプラスチック容器大手アルプラ・グループとの合弁会社エンビコ(ENVICCO)が、来年早期に廃プラスチックリサイクル工場の建設を開始し、21年中に稼働させる計画。投資額は20億バーツで、再生ポリエチレンテレフタレート(PET)を年3万トン、再生高密度ポリエチレン(HDPE)を年1万5,000トン生産する。

さらに現在、米国で石化プラントの事業化調査を実施しており、20年第1四半期(1~3月)に終える予定。米国を第2の生産拠点にしたい考え。

またコンクラパン氏は、米カーギルとの合弁会社ネイチャーワークスの生産拠点をタイにも設けたい意向を示した。ネイチャーワークスは、バイオプラスチックの一種であるポリ乳酸(PLA)を米国で年15万トン生産しており、PLA生産の世界最大手。タイでは年産能力7万5,000トン規模の工場を建設するために交渉中で、来年の早い段階で結果が分かるとした。

PTTGCは30年までに海外向けの投資予算を現在の7%から30%に引き上げる方針。コンクラパン氏は、米国に続いて、ベトナムやインドネシアといった東南アジアへの進出も検討しているとした。

■7~9月は79%減益

PTTGCの19年7~9月期連結決算は、純利益が前年同期比79.2%減の26億6,300万バーツ、売上高が同23.0%減の1,059億5,800万バーツ。米中貿易摩擦の影響で原油価格が下落していることが影響した。メンテナンスで停止していたアロマティクス(芳香族系化合物)のプラントがフル稼働したことで、前四半期比では20.9%増益となった。

売上高の内訳は製油が45%、オレフィン・派生品が30%、アロマティクスが14%などとなった。1~9月の純利益は前年同期比68.6%減の113億800万バーツ、売上高は15.9%減の3,270億500万バーツだった。

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