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【ミャンマー】欧企業、国連報告受け軍系合弁と取引停止へ[IT](2019/08/15)

ベルギーの衛星通信会社ニューテック・グループが、国連人権理事会(UNHRC)が先ごろ発表したミャンマーのイスラム教徒少数民族ロヒンギャの迫害問題調査団による報告書を受け、国軍系企業と合弁を組むベトナム系の地場携帯サービス会社との取引を停止すると発表していたことが14日までに分かった。今回の国連報告による取引の見直しを公表した企業は初めて。

ニューテックが取引停止を発表したのは、ミャンマーの携帯電話サービス会社「マイテル(Mytel)」。マイテルを運営するミャンマー・ナショナル・テレ・アンド・コミュニケーションズ(MNTC)には、ベトナム軍隊通信グループ(ベトテル)が49%を出資。残り51%はミャンマー国軍系のスター・ハイが28%、地場企業11社で構成するミャンマー・ナショナル・テレコム・ホールディングが23%をそれぞれ保有する。

UNHRCは5日、ミャンマー国軍と直接または間接的に取引している外国企業約60社のリストを含む報告書を公表し、消費者や企業に対して国軍が関係する事業との関係を断つよう要請。ニューテックは同リストに含まれていた。

ニューテックは報告書を受けて9日付の声明を発表。「当社は国連の勧告に従い、ミャンマー国軍系企業と関係のあるマイテルとの取引を停止する」と述べた。

ニューテックは昨年6月、同社のサプライヤー、コミュニケーション・アンド・コマース(コム&コム)を介して、マイテルへのシステム供給を開始。今回の声明では「ミャンマーではコム&コムを顧客としており、マイテルとの直接取引はしていない。ロヒンギャへの残虐行為を行ったミャンマー国軍と関係のある企業と分かった上で、当社の製品を販売することは決してない」とも述べた。

コム&コムは、ニューテックから調達した衛星プラットフォームなどをマイテルに供給し、マイテルは通信網が確立されていない農村地域でのサービス提供にニューテックの衛星モデムを用いている。

電子メディアのイラワジによると、ニューテックからマイテルやコム&コムに対する正式な取引停止の通知は届いていない。コム&コムのウィン・テト・アウン副最高経営責任者(CEO)は「衛星通信によるサービスを利用しているマイテルの顧客は少ないため、取引停止による影響は限定的だ」と話した。マイテルはコメントしていない。

コム&コムは、ミャンマーのテラビット・ウェーブとベトナムのOSBインベストメント・アンド・テクノロジー・ジョイント・ストック・カンパニー(OSB JSC)の合弁企業。2018年にマイテルが実施した入札で、ミャンマーでの第4世代(4G)移動通信システムの事業権を落札した。

ヤンゴンのモールで行われるマイテルの販促活動=昨年6月、ヤンゴン(NNA)

ヤンゴンのモールで行われるマイテルの販促活動=昨年6月、ヤンゴン(NNA)

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