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【ベトナム】HCM市で真贋セミナー、日本から11社参加[経済](2019/07/18)

日本経済産業省と日本貿易振興機構(ジェトロ)ホーチミン事務所は17日、ホーチミン市税関局の職員ら約50人を招き、知的財産取り締まり強化に向けた真贋(しんがん)判定セミナーを開催した。日本からは家電やスポーツ用品、アパレルメーカーなど日本企業11社が協力し、模倣品と真正品の判定方法などの情報を提供。日本ブランドの模倣品摘発と保護を目指す。

日本の経産省とジェトロが真贋判定セミナーを開催。税関局職員らは各社ブースで模倣品と真正品の判定を試している=17日、ホーチミン市

日本の経産省とジェトロが真贋判定セミナーを開催。税関局職員らは各社ブースで模倣品と真正品の判定を試している=17日、ホーチミン市

経産省とジェトロは2006年から世界各地で真贋判定セミナーを開催。ベトナムでは12年以降、ハノイやホーチミン市、中国国境の当局などを対象に毎年模倣品対策を講じている。

主催者によれば、ベトナム市場の拡大とともに日本企業の関心が高まっており、権利者からの開催ニーズも高い。参加企業からは、当地の電子商取引(EC)や会員制交流サイト(SNS)で模倣品が増えているという声が聞かれた。模倣品の生産量が大きい中国と陸路で隣接していることで、国境を通じた密輸も多いとされている。

■権利者に情報提供呼びかけ

セミナーで市税関局監査検査部のレー・バン・チエン副部長は、同局による知的財産権の水際取り締まりの概要を説明。クロスボーダー取引が増える中、模倣品を食い止め知財を保護することは、投資拡大にもつながり重要との認識を示した一方、「最近は、模倣品が巧妙に作られており見分けが難しい」と話す。

同氏によれば、実際にセミナー等を受けたあと職員に実施した模倣品判断テストでは、正解率が50%程度。取り締まり強化に向け、保護要請の申請書類の提出、カラーや写真入りの分かりやすい資料の提示、摸倣品の取扱業者やルートといった細部にわたる情報など、権利者からの積極的な情報提供を求めた。

■無印良品は進出前に模倣品の認知を

生活雑貨量販店「無印良品(MUJI)」を展開する良品計画の小倉夏呼氏(法務・知財部)によれば「ベトナムでオンライン取引される模倣品の検知数(同社調べ)は、模倣品が製造されていると考えられる中国を抜いた」。同社はベトナムでの出店計画を進める中で今回の参加が認知につながればと話す。

ばねメーカーで偽造防止のホログラムシールを開発する日本発条(NHKニッパツ)は、真贋判定が行える特殊フィルムを紹介。同社はこれまでに世界60カ国・地域の税関に判定ツールを提供してきたという。

このほか、税関を通過しない個人輸入や密輸ルートも多いことから、参加企業各社は独自で模倣品の回収やECサイトなどへの取り下げ申請などを行っている状況だ。ベトナムの知財制度は比較的整備されているものの、運用面で改善の余地は大きい。経産省とジェトロは今後も機会提供を続けていく構えだ。

良品計画はベトナムで出回る模倣品(中央より右)を展示した=17日、ホーチミン市

良品計画はベトナムで出回る模倣品(中央より右)を展示した=17日、ホーチミン市

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