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【マレーシア】高島ちぢみ、マレーシアのデザイナーとコラボ[繊維](2019/03/01)

日本・滋賀県の綿織物「高島ちぢみ」を使ったファッションショーが2月28日、首都クアラルンプールで開催された。マレーシア人のデザイナー、リコ・リナルディ氏がデザインした。高島ちぢみは、日本の特許庁から認定を受けた「地域団体商標」(地域と産品の名称を組み合わせた商標登録)。地域ブランドの周知を図り、産業競争力を国内外で高めていく考えだ。

高島ちぢみを使ってリコさんが手掛けた作品に触れる来場者=2月28日、クアラルンプール(NNA撮影)

高島ちぢみを使ってリコさんが手掛けた作品に触れる来場者=2月28日、クアラルンプール(NNA撮影)

ファッションショーは、リコ氏の事務所、リコ・リナルディ・エンタープライズが主催し、高島ちぢみの商標を保有する高島織物工業協同組合と織り・生地加工を担う高島晒(さらし)協業組合、ジェトロ滋賀貿易情報センターが協賛した。

高島ちぢみは、横糸を強くより(ねじり)、生地の表面に細かいしわを出した織物。肌にまとわりつきにくく通気性がよいため、日本では肌着の素材として用いられることが多い。高島ちぢみは、ジェトロの「地域団体商標海外展開支援事業」(公募式)に採択され、マレーシアをはじめ、これまでにインドネシアや台湾などでブランドの周知活動に力を入れてきた。

高島織物工業協同組合の杉岡定弘代表(常務理事)は、「高島ちぢみの染色にはクチナシや竹炭、バラ、コーヒーといった天然の素材も使われており、柔らかな生地の風合いや色味がマレーシア人にとって新鮮に映っている」と話す。マレーシアでは主な情報源となるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)がPRの鍵だとも語った。

デザインを手掛けたリコ氏は、「特徴の一つでもある肌ざわりは、日本を訪れるまでお預けだった」というが、「先に写真で発色を見ただけで素材に引き込まれた」と話す。「グリーンにアボガドを使っていると現地で聞いた。まったく想像できなかった」と目を見開きながら、のぞき込むように語る。

マレーシアの女性の伝統衣装「バジュ・クロン」をベースに、もともと緩やかな袖口を立体的に、大胆に強調したと話すマレーシア人デザイナー、リコさん=2月28日、クアラルンプール(NNA撮影)

マレーシアの女性の伝統衣装「バジュ・クロン」をベースに、もともと緩やかな袖口を立体的に、大胆に強調したと話すマレーシア人デザイナー、リコさん=2月28日、クアラルンプール(NNA撮影)

滋賀の工場を訪れた際、日本では下着の素材に適していると教わった。「リネン(麻)に似た肌ざわり」(リコ氏)にマレーシアでの方向性を見いだした。

リコ氏は、マレーシアで衣類の生地としてリネンはあまり使われないと話し、「逆に新たな素材になる。富裕層向けにオートクチュール(高級注文服)需要もあるのではないか」と指摘。1着400リンギ(約1万900円)程度に設定し、オンラインでの受注体制も整える予定だ。

ジェトロ・クアラルンプール事務所の小野澤麻衣所長は、高島ちぢみが下着の生地として重宝されることから、「値が張る素材ではない点が強みといえる」と話す。用途や流通によって価格を高くも安くも設定できるため、対応できる領域の幅が広く、「日本のものは高い」という思い込みを変える商品の一つになると受け止めている。

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